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数次相続と相続登記
〇数次相続と相続登記
令和6年4月1日から相続登記が義務化となります(※)。これにより何世代にもわたり相続登記が未登記の不動産について登記をするという事案が多くなると思われます。そこで本項では数次相続と相続登記について説明します。
※相続登記の義務化については、相続登記の必要性と相続登記の義務化の項で詳細に説明していますので、そちらをご確認ください。
相続に関するいろいろなサイトで数次相続とその相続登記について説明していますが、説明が長すぎて逆に分かりづらくなっている印象を受けます。そこで本項では日本で起きる典型的な事案を例に、数次相続の場合の相続登記等について説明します。
〇被相続人の相続手続きが終わらないうちに、その相続人が死亡して相続が開始する事を数次相続といいます。日本でよく起きる数次相続の例としとは、高齢のご夫婦がいる場合で、年上の夫がまず亡くなり、その相続手続きをしないうちに年下の妻が亡くなるという事案です。
〇事案のモデル図
A (夫) ―――― B(妻)
C (長男)――――D(次男)
Aの相続手続きをしないうちに妻のBの相続が開始したとの事案です。AとBの子供は長男Cと次男Dだけです。遺産としてA名義の不動産があります。
本事案において最終的に名義人を長男のCとする場合の相続登記の例を考えて
みます。この事案の場合、遺産分割協議のやり方を工夫することにより、より
シンプルなやり方で相続登記をすることができます。
〇例1
1/3(3個の申請のうち1番目の申請という意味。以下同じ)
目的 所有権移転
原因 年月日相続 (Aの死亡日)
相続人 (被相続人A)
持分4分の2 B
持分4分の1 C
持分4分の1 D
※まずAの相続について法定相続分で登記します。
2/3
目的 B持分全部移転
原因 年月日相続 (Bの死亡日)
相続人 (被相続人B)
持分4分の2 C
※亡Bの相続について、B持分をCが取得するとのC、D間の協議書を添付して登記します。
3/3
目的 D持分全部移転
原因 年月日遺産分割 (Aの相続についてのC、Dの協議が成立した日)
権利者 持分4分の1 C
義務者 D
※CとDの共同申請で登記します。Aの相続で取得したDの持分を、Cが取得するという内容のAの相続に関する遺産分割協議を行います。
例1は、個々の権利変動を全て相続登記に載せるというやり方です。
3つの登記をしなければならないので、ある意味面倒なやり方です。
〇例2
C、DがAの相続についてB単有とする協議をして、かつBの相続についてC単有とする協議をした場合の登記
目的 所有権移転
原因 年月日B相続 (Aの死亡日)
年月日相続 (Bの死亡日)
相続人 (被相続人A)
C
※Aの相続について亡B単有とする協議書と、Bの相続についてC単有とする協議書を添付します。
※単有⇒単独所有の意味
例2は、Aへの相続について、亡B、C、Dが遺産分割協議をする形をとります。Bは亡くなっているのでC、DがBの代わりとして協議をすることになります。つまりC、DはBの相続人としての地位と、Aの相続人としての地位の重複した地位で遺産分割協議をすることになります。協議としては、Aの相続について「A名義の不動産は亡Bが相続する」という協議及びBの相続について「亡Bの不動産はCが相続する」という2つの協議をします。協議書も各別に作成し、2通添付します。登記申請書は1通になりますが、申請書の内容は数次相続の形になります。
〇例3
C、DがAの相続について、Aの相続人としての地位とのB相続人としての地位で、Cが不動産を相続するという協議をした場合の登記
目的 所有権移転
原因 年月日相続 (Aの死亡日)
相続人 (被相続人A)
C
例3は、Aの相続について、亡B、C、Dが遺産分割協議をする形となります。Bは亡くなっているのでてC、Dが亡Bの代わりとして協議をします。C、Dは亡Bの相続人としての地位と、Aの相続人としての地位の重複した地位で遺産分割協議をすることになります。協議としては「亡A名義の不動産をCが相続する」という内容で、協議書の添付も1通です。
例3が本事案においては1番簡易な相続登記のやり方になると思います。
※相続人が1人の場合は遺産分割協議ができないので、この例3の方法による相続登記はできないこととなりました。注意が必要です。
数次相続がある場合の相続登記について説明しましたがご理解いただけましたでしょうか。数次相続の場合は遺産分割協議をすることが多いと思いますが、遺産分割協議を要する数次相続の登記は一般の方にとっては難しいかと思います。
このような場合には、やはり登記の専門家である司法書士に相談したほうベターだと思います。
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