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相続が開始して、何年かたった後、遺産分割協議をしようとすると、その協議に参加すべき相続人が相当多数になっている場合がよくあります。全く知らない親戚と名乗る人物から、遺産分割協議書にハンコを押してくれと言われているが、突然だし、何のことかわからない、どうしたらいいですか?という相談を受けたことがあります。この例なども何年も相続(登記)手続きをしなかったため、遠戚の方が相続人となったことにより生じたのだと思います。時間がたてばたつほど相続人は増え、遺産分割協議に対するコンセンサス(合意)は得にくくなります。また、亡くなった方(被相続人)の最終意思の実現も難しくなります。このようなことを無くすためには、相続が開始したら期間をあけずに、相続人を確定させ、遺言書等により被相続人の意思をふまえ、または、相続人の間で遺産分割協議をし、各相続人の相続分を具体的に確定させます。その財産が不動産であればすぐ登記をしましょう。これらを相続開始時から期間をあけずに手際よく行うことにより、後で遺産分割協議、遺留分、その他の問題で、ごたごたする可能性は低くなります。また、登記には「不動産登記の項」で述べますが対抗力というものがあり、登記をすることにより自分の権利を誰に対しても主張できることになるので、権利関係の安定に寄与することになります。
POINT⇒相続が開始したら、遺言書の存否を確認しましょう。そして、相続人及び相続財産を確定させましょう。⇒遺言書があればそれにもとづき、なければ相続人の協議で、どの相続財産を誰のものにするか、もし、被相続人に負債がある場合はだれが負債を負うか、連帯債務にするのか、あるいは相続放棄をしたほうがいいのか、等きっちり具体的に細かく決めていきましょう。そして、価値のある財産である、不動産の帰属が決まったら早めに登記をして、権利関係を安定させましょう。
※所有者が不明な土地に対応する為の法改正に伴い、2024年度から相続登記が義務化となる予定です。法改正の詳細は「所有者不明土地に対応する為の法改正等について」の項に記載がありますので、ご確認ください。
※相続登記と名義変更に関する記述をブログに記載しています。興味のある方はぜひお読みください。
本項の前半部分では相続登記を早めに行う利点について述べておりますが、相続登記の義務化が令和6年の4月1日から施行される予定です。一般の方にも重要な影響を及ぼす規定ですので、後半部分では相続登記の義務化について詳細に記載します。ぜひご確認ください。
所有者不明土地に対応するための一連の法改正に伴い、約1年後の令和6年の4月1日から相続登記義務化の規定が施行になります。
相続で不動産を取得した相続人は、一部の例外を除き、原則として相続が開始し、所有権を取得したことを知った日から3年内(※4)に相続登記の申請をしなければならなくなります。
※ 1 遺産分割協議をする場合は協議が成立してから3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
※ 2 特定財産承継遺言(長男〇〇に〇〇の不動産を相続させる)も本規定の適用になります。
※ 3 相続人に対する遺贈により所有権を取得した相続人も本規定の適用となります。
※ 4 相続登記申請義務が発生する起算点について
この規定の適用範囲は改正法施行日後に発生した相続だけではありません。改正法施行日前から相続登記未登記の不動産があり、すでにその未登記不動産の存在と自己がその不動産を相続すること知っている場合などは、その未登記不動産については、改正法施行の日から3年内に相続登記をする義務があります。
また、改正法施行日後に自己が相続する相続登記未登記の不動産の存在を知った場合には、知った日から3年内に登記をする義務があります。
今までの相続に関する改正法との大きな違いは、この規定に違反した場合には行政罰である、10万円以下の過料が科せられるという点です。正当な事由等(※)がないにもかかわらず、法で定められた期限内に相続登記を申請しない場合には、10万円以下の過料が科せられる可能性があるのです。実際にどのような運用となるかは改正法が施行されてからでないと分かりませんが、法に明記されている以上、違反をすれば過料を取られる可能性は十分にあります。
※正当な事由がある場合の例(過料を免れる場合)
(1)相続登記を何世代にもわたり申請しなかった為に、相続人が多数いて、戸籍等の収集や相続人の確認・確定作業に多大な時間を要する場合
(2)遺産の範囲や遺言の有効性などについて争われている場合
(3)相続登記の申請義務を負う相続人が重病などで申請するのに困難な事情がある場合 他
※相続人申告登記をすると過料を免れることができます。
登記簿上の所有者について相続が開始したこと及び自分がその相続人であることを法務局に申告して登記してもらう制度です。この申告がされると、申告をした相続人の住所・氏名などが登記されます(持分は登記されません)。この申告(申請)を相続登記申請義務の履行期間内(3年以内)に行うことで、申告(申請)をした相続人は、相続登記申請義務を履行したものとみなされます。これにより10万以下の過料から免れることになります。
法定相続人の範囲や法定相続分の割合の確定に至らなくても、被相続人と相続人の相続関係が明確にできれば、この申告(申請)ができます。添付書面も申出をする相続人が被相続人の相続人であることが分かる当該相続人の戸籍謄本等を提出すればよいことになります。
※この登記は権利の取得を公示するものでありません。
※相続人が複数いる場合でも、相続人中、特定の相続人が単独で申告(申請)することができます。
令和6年4月1日以降は、相続登記をしないだけで無駄なお金を取られる可能性があるわけですから、その対応に注意する必要があります。
相続登記は原則として過去の相続登記を省略して直近の相続登記だけを行うことができません。それ故、何代にもわたり相続登記をしていない不動産が遺産に含まれている場合などには、直近の相続登記を完了するまでにかなりの手間や時間がかかってしまうことがよくあります。何世代にもわたり相続登記をしていない不動産が遺産中にある場合などは、今のうちから対応を進めていた方が良いと思います。
前記のように何代にもわたり相続登記をしていない場合には、まず、相続の対象となる不動産の不動産登記簿謄本を取得し、登記簿上、誰が不動産の名義人になっているか確認します。そして戸籍等を取得して、誰が被相続人となり誰が相続人となるかなど相続関係をきっちりと調査する必要があります。相続人の確認・確定などは思いのほか面倒な作業です。仕事を持っている方などはかなり大変な思いをするとかもしれません。このような場合は相続登記の専門家である司法書士に、相談した方が良いかもしれません。
当事務所は相続に強い司法書士事務所です。土曜・日曜・祝日も対応しています。また、相談料は基本的に無料です。相続登記に関して不安を持っている方は、お気軽に当事務所にご相談ください。
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