来年、令和8年4月1日から住所変更登記が義務化になります。それに関連して当ブログにおいても住所変更に関連したブログ(2025-05-22 ブログ)がありますが、今回は、一般的な「住所移転」を原因とする住所変更登記ではなく、「住居表示実施」と「行政区画変更」を原因とする住所変更登記について説明したいと思います。
※興味のある方は、ぜひ当ホームページの住所変更登記の項もあわせてお読み下さい。
住所変更登記は、簡単な登記なのでご自分でもする方もいると思いますが、やはり1番多いのは、引越しなどによる住所移転を原因とする住所変更登記です。この場合は住民票をとって登記申請書に添付すればよいのでそんなに面倒ではありません。
一般の方にとってなじみの薄いのが、「住居表示実施」と「行政区画変更」による住所変更(登記)ではないでしょうか。
以下、簡単に「住居表示実施」と「行政区画変更」を原因とする住所変更登記について説明します。ぜひ参考にしてみてください。
住居表示実施は、住居の表示をより実際の街並み、区画等にリンクしてわかりやすく表示するために行われるものです。これにより、より家屋所在地等が明確になり、緊急車両や郵便等の業務について利便性が高くなります。
例) Z区Y町1番地 ⇒住居表示実施⇒Z区Y町1丁目1番2号
住民票を取得しても住居表示実施による住所変更の過程は記載されませんので、「住居表示実施証明書」を市区町村役場で取得して登記申請書に添付します。
住居表示実施を原因とする住所変更登記登録免許税は非課税です。この場合、住所変更登記申請書には忘れずに非課税条文を記載してください。
記載例) 登録免許税 登録免許税法第5条第4号
※住居表示実施の実施日や内容などは「住居表示実施証明書」に記載があります。「住居表示実施証明書」の内容を登記申請書に記載してください。
行政区画変更とは、市町村合併などで新たな市町村が生じる場合や土地区画整理事業で町名や地番が変更となる場合です。基本的に住所変更登記が必要ですが、町名や地番変更が伴わない行政区画変更は住所変更登記不要です。
例) Z市が近隣の市町村を合併してY市となった場合
Z市Z町1丁目1番1号⇒合併⇒Y市Z町1丁目2番3号 住所変更登記必要
Z市Z町1丁目1番1号⇒合併⇒Y市Z町1丁目1番1号 住所変更登記不要
行政区画変更による住所変更登記の場合は「行政区画変更証明書」、「町名地番変更証明書」などを添付します。この場合も非課税です。忘れずに非課税条文を記載してください。
記載例) 登録免許税 登録免許税法第5条第5号
住居表示実施や行政区画変更による住所変更登記で注意する点といえば、複数回の住所変更があった場合の登録免許税です。
例えば、「令和2年3月4日住所移転⇒令和3年4月5日住居表示実施」、の場合は、最後の登記原因が住居表示実施なので非課税になります。
逆に、「令和2年3月4日住居表示実施⇒令和3年4月5日住所移転」の場合は最後の登記原因が住所移転なので登録免許税がかかります。注意してください。
令和8年4月1日から住所変更登記が義務化になります。罰則規定もあるので注意が必要です。住所変更登記は難しい登記ではないのでご自分で登記してもよいですし、費用・報酬もそんなに高くはない登記なので、時間のない方は司法書士に頼んでも良いと思います。