このブログには、お客様から多くいただくお問い合わせやご質問に対する回答のようなことを述べているブログがいくつかあります。例えば、抵当権抹消登記の費用・報酬等に関するお問い合わせが多いので、それに関するブログ(2024-09-12)などです。

やはり司法書士に仕事を依頼した場合の費用・報酬に関するお問合せが多いのですが、例えば、「抵当権抹消登記は自分でもできますか?」というような、登記申請は一般の方でも自分できるのか?という質問もよくいただきます。

最近もこの質問をうけました。抵当権抹消登記や住所変更登記など比較的簡単な登記であれば、「お客様自身でもちょっと頑張ればできると思います」、とお答えしています。

回答が難しいのが、「相続登記は自分でできますか」、という質問です。相続登記に関しては、そのお客様の事情・状況や相続の内容をよく聞かないと適切な回答ができないからです。

例えば、父、母、子供1人がいて、父が先になくなり、父名義の不動産を母の名義にする相続登記がすんでいて、その後に母が亡くなり、母の名義から子供の名義にするための相続登記などは比較的簡単な事案といえます。

これに対して、相続人が複数いて遺産分割協議が必要な場合などは、遺産分割協議書の作成が一般の方にとってはハードルが高いのではないでしょうか。今までお客様が作成した遺産分割協議書をかなり見てきましたが、相続登記の申請には使うことが難しい遺産分割協議書もありました。

一般の方が相続登記をするうえで難しいと思う部分を上げると

・遺産分割協議書、相続関係説明図などの相続登記に特有の登記必要書面の作成。

・登録免許税の算出

非課税となる場合があるので注意が必要です。

・戸籍の収集

戸籍法の改正により戸籍証明書等の広域交付制度がスタートし(※)、以前よりは戸籍は取りやすくなりま  したが、兄弟相続や数次相続の場合は戸籍収集の手間や難易度は上がります。

※戸籍法の改正により、令和6年3月1日から本籍地以外の市区町村役場でも戸籍の取得が可能になりました。詳しくは「戸籍証明書等の広域交付制度について」の項で説明していますので、ぜひお読みください。

 

お客様ご自身が相続関係の法律や相続登記などに詳しくて、遺産分割協議書等の作成や戸籍などの登記必要書面をきちんと集めることのできる知識や時間があれば、大変だとは思いますが、ご自分で相続登記をすることは可能だとは思います。しかし相続登記をする為にかかる手間や時間などを考えると、司法書士に頼んだほうが楽だし安心だと思います。

登記を自分でするか司法書士に頼むかでお悩みの方は、まずは司法書士に相談してみてはいかがでしょうか。

※相続登記やその他の登記を自分でやるか否か悩んでいる方は、ぜひ、当ホームページの「相続登記 司法書士に頼むか?本人申請か?」司法書士はあなたのそばにいますなどの項目もご参考ください。

 

 

平成631日、戸籍法の改正により、戸籍証明書等の広域交付制度がスタートしました。基本的に全国どの市区町村役場においても戸籍が取れるようになりました。

 相続登記をする場合は、原則として、被相続人の生まれた時からお亡くなりになった時までの継続したすべての戸籍が必要です。

今までは、例えば、生まれた時の本籍地が宮崎市の場合だと、宮崎市役所で出生時の戸籍を取り、転籍等があれば、転籍地の市区町村役場で戸籍を取るなどの必要がありました。東京にお住まいの方だと、宮崎市や転籍地の市区町村役場に郵送請求をするなど大変な手間がかかっていました。しかし戸籍証明書等の広域交付制度を利用すると、基本的に杉並区役所で被相続人の生まれた時からお亡くなりになった時までのすべて戸籍を取得できるようになったのです。

すごく便利な制度ですね。ただしこの制度を利用するにはいろいろな注意点があります。そこで戸籍証明書等の広域交付制度を利用する場合の注意点などを、新たに戸籍証明書等の広域交付制度の項目を設けわかりやすく説明しています。

戸籍証明書等の広域交付制度は、大変便利な制度なのでぜひご参考ください。

 

 

令和7年がスタートしました。今年も、地域密着型の司法書士事務所として、杉並、荻窪を中心とする近隣の皆様のお役に立てるよう頑張りたいと思います。

近年は、テレビや雑誌、YouTubeなどで、相続に関する話題が増えてきたような気がします。相続に関する法律の改正や相続登記の義務化などの影響でしょうか。

人間はいつか必ず亡くなる運命にあります。相続は身近な存在なのです。相続が開始してバタバタと物事を決めるよりも、将来、生じるであろう相続の為に、相続に関する知識や情報を得るなどして準備をしておく事はとても有益なことです。

もし相続や相続登記に関することで、ご不明な点などがあれば、相続に強い当事務所にお気軽に、お問い合わせ・ご相談ください。

※基本的に相談料は無料です。また土曜、日曜、祝日も事前にご連絡いただければ対応いたします。

 

最近耳にするようになった言葉として、「実家じまい」、「家じまい」と言う言葉があります。

実家じまいは、例えば地方に住んでいる親が亡くなって、親が住んでいた家を、その子供達などが処分、処理する手続きです。

例えば、長男などがその家に引き続き住むのであれば、実家じまいは必要ないのですが、子供たち全員が東京に出てきており、親以外その家に住んでいない場合などは、親が住んでいた家をどうするか問題となります。

やはり実家の土地や家屋を売りに出して処分するということが多いと思います。マンション等であれば賃貸に出すなども考えられます。

これに対して家じまいと言うのは、まだ存命中の親などが、自分たちの住んでいる家を負の不動産にしないために、生きている間に処分等をすることです。この場合も、例えば家を売って、親は老人ホームなどの施設に入るとか、住んでいる一戸建てを売り、高齢の方も住みやすいマンションに移るとか、いろいろな方法があります。

実家を空き家のまま放置しておくと、近隣に迷惑をかける恐れも出てきます。当然、固定資産税もかかります。

実家の建物や土地を負の財産にしないためにも、実家じまいや家じまいについて家族で話合いをする事はとても有益なことだと思います。

 実家に親が住んでおり、親以外その家に住んでいない場合には、帰省の際に、実家じまいや家じまいについて話合いをしてみてはいかがでしょうか。

 

もう数日でお正月ですね。皆様も良いお正月をお迎えください。  

 

 

「認知症や知的障害がある場合は遺言書の作成ができるでしょうか?」というご質問やお問い合わせをたまに受けます。

結論から言うと、その症状や障害の程度によって異なります。民法の規定では、基本的に15歳以上であれば遺言をすることができます(民法第961条)。

ただ遺言能力(民法第963条※)が必要とされます。遺言をするときに15歳以上で遺言能力があり、遺言書に形式的な間違い等がなければ基本的に遺言は有効だといえます。

 

※遺言能力→自己の遺言の内容を理解し、遺言により生じる結果も理解しうる能力。民法第963条の「能力」の意味については、いろいろな考え方があると思いますが、遺言をする時に前記の能力があれば問題ないと思います。また、15歳以上という要件も含めて遺言能力ということもあります。

 

民法上は15歳以上で遺言能力があれば、被後見人でも被保佐人でも遺言書の作成はできます。代理人に遺言書を作成してもらうような事はできません(民法第962条)。例えば重度の認知症等の場合には成年後見人がつけられることがあると思いますが、この場合、成年後見人が認知症である成年被後見人を代理して遺言書を作成とするという事はできません。遺言は自分の意思で自発的にするものなので、代理という行為にはなじまないからです。

また、成年被後見人が遺言書を作成する場合には民法第973条(※)により医師2人以上の立会いを持って事理弁識能力(※)が回復した時に遺言をする等の規定が定められています。事理弁識能力がない状態が継続しているのであれば、事実上、遺言はできないことになります。

 ※民法973

1.   成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師2人以上の立会いがなければならない。

2.  (省略)

事理弁識能力 自分の行為の結果、どのような法律的責任が生じるか理解できる能力。

 

遺言書を作成したいと考えている方で、認知症の症状や知的障害がある方は、まだ症状が軽く遺言能力があるうちに遺言書を作成すべきでしょう。相続開始後に相続人間で問題が生じるリスクを減らすため、公正証書遺言を作成した方が良いと思います。また、遺言者の負担にならないよう、遺言の内容は簡潔でわかりやすい内容にした方がよいでしょう。事前に公証人の先生と打合わせをして、簡潔でわかりやすい内容の遺言書を作成するのが良いと思います。

 

重度の認知症や重度の知的障害がある方でも遺言書の作成は可能だとは思います。しかしそのハードルは高くなると思います。また、この場合お亡くなりになった後、その相続人が遺言書の有効性について争う可能性も高くなります。認知症や知的障害のある方が遺言書を作成する場合には、症状が重くなる前に早めに遺言書を作成するのがベターです。

 

現在、軽度の認知症や知的障害がある方で遺言の作成を考えている方は、まだ症状が軽いうちに公証役場や司法書士などに相談してみてはいかがでしょうか。 

 

 

最近たまたま同じ時期に、集会所、管理事務所等の登記された共用部分がある2つの異なるマンション(敷地権付区分建物)の登記をしました。

この2つのマンションの登記には大きく異なる部分がありました。

片方のマンションの集会所等の共用部分には団地規約設定の登記(以下規約設定の登記)が入っており、片方のマンションには規約設定の登記が入っていませんでした。

規約設定の登記が入っていると、専有部分(通常はマンションの部屋の部分)と結びついて共用部分の権利関係も動くので共用部分の登記をする必要がありません。つまり専有部分が移転すると共用部分の持分も移転することになるのです。

これに対し規約設定の登記が入っていないと、共用部分は専有部分と結びついていないので、専有部分とは別に共用部分の登記をする必要があります。この場合、通常は専有部分を所有移転登記、共用部分は持分移転登記をすることになります。つまり規約設定の登記があるか否かでやるべき登記が変わってくるのです。

しかし困った問題があります。専用部分の登記簿謄本を見ると敷地権付区分建物の場合、敷地権については登記簿謄本に載っていますが、専有部分と関連する共用部分については専有部分の登記簿謄本に載ってこないので、専有部分と関連した登記のある共用部分があるか否か、規約設定の登記があるか否か等は、専有部分の登記簿謄本を取っただけでは分からないのです。

専有部分と関連する登記された共用部分があるか否かについては、固定資産税納税通知書や固定資産評価証明書をよく見るとわかります。固定資産評価証明書等に専有部分とは異なる家屋番号が付された集会所や管理事務所などの記載があれば、それは登記された共用部分であるといってよいでしょう。

固定資産評価証明書等に記載された不動産の表示を頼りに、専有部分と異なる家屋番号の登記簿謄本を取り、その記載内容を確認すると規約設定の登記が入っているか否かわかります。規約設定の登記が入っていれば、共用部分について登記する必要はありませんし、規約設定の登記が入っていなければ、共用部分について持分移転登記をする必要があります。

登記された共用部分の存在や規約設定登記の有無などは、一般の方はなかなか気づかないと思います。集会所などの割と大きめで独立性の高い共用部分があるマンションの相続登記や移転登記をする場合には、固定資産評価証明書や固定資産税納税通知書を注意深く見てください。それらの書面に専有部分と異なる家屋番号が付されており、集会所や管理事務所等との記載があれば、その家屋番号で登記簿謄本を取り、規約設定の登記の有無を確認してみて下さい。

前記のとおり、集会所などの共用部分があるマンションについての登記には注意が必要です。心配な方は司法書士などに相談して、自分で登記ができなさそうなら、司法書士に登記を頼んだほうが安心かもしれませんね。

 

当事務所は相続登記、不動産登記に強い司法書士事務所です。お気軽にご相談ください。

 

 

あと数日で12月です。早いですね。今回のブログは、気になっている登記を片付けて、気持ちよく新年を迎えましょう、という提案です。

 通常、住宅ローン債務を完済すると、金融機関から抵当権抹消書類一式が送られてきます。手元に抵当権抹消書類があっても、面倒だし、登記のやり方もわからないので、そのままにしておくという方もいるのではないでしょうか。

しかし何もしないまま時が経ち、抵当権抹消登記の委任状を出した金融機関の代表取締役が退任などすると、新たな代表取締役から新たに委任状を発行してもらう必要性がでてきます。抵当権抹消書類をもらった時すぐに、抵当権抹消登記をすればこのような事はほとんど起きません。また、実体上、住宅ローン債務がないのに、登記簿上はそれが残ったままだとあまりいい印象は受けませんよね。抵当権抹消書類をすでに受け取っているのに、まだ何もしていない方は、特に不都合なことがなければ、早めに抵当権抹消登記をした方が良いでしょう。

抵当権抹消登記はわりと簡単な登記なので自分でもできますし、時間のない方は司法書士に頼んでも良いと思います。

 

相続登記も、その気になればできるのに、なかなかやらない登記のひとつです。しかし、今年の4月に相続登記の義務化がスタートしました。今までのようにお亡くなりになった方の登記名義のままにしておくと、今後、相続登記の義務化の規定に違反する可能性が出てきます。10万円以下の過料もある規定なので注意が必要です。

数次相続や遺産分割協議を要するなどの手間や時間がかかる案件でなければ、今年中に相続登記が完了する可能性がまだあります。来年にやってもよいとは思いますが、気になっていた方は、今年のうちに相続登記を済ませて、登記簿も実体にあわせ、お亡くなりになった方の名義から現在の名義人変えると、相続登記義務化の規定に違反することもなくなるので安心です。

気分良く新年を迎えるためにも、気になっていた抵当権抹消登記や相続登記などがある方は、自分でやるにせよ司法書士に頼むにせよ、早めに行動を起こし、登記簿を実体にあわせてすっきりし、気持ちもすっきりして、新年を迎えてみてはいかがでしょうか。

相続登記や抵当抹消登記その他の登記でご不明な点などがあれば、当事務所にお気軽にお問い合わせください。

 

 

相続登記の義務化が令和641日に施行され、もう半年が経ちました。複数の友人に相続登記の義務化について聞いてみても、「知らない」、「なんのこと?」と相続登記の義務化について知らないようでした。法務省が昨年8月に行った調査でも、相続登記義務化について、67%の人が「全く知らない」と「よく知らない」でした。罰則規定があることに関しては78%の方が「全く知らない」と「よく知らない」でした。約1年前の調査結果だとしても、あまりよくない状況だと思います。相続登記義務化の周知徹底を国の施策として早めに行うべきだと思います。

所有者不明の土地や家屋をこれ以上増やさないようにするために相続登記を義務化したわけですが、現在のように相続登記の義務化についてあまり知られていない状況だと、今後、本当に所有者不明の土地や家屋を減らすことはできるのでしょうか。

ちなみに現在、所有者不明の土地の面積を全て足すと九州本島の面積を超えます。今後は北海道本島の面積にせまると予想されています。これってかなり異常なことですよね。

所有者不明の土地や家屋は負の要素がたくさんあります。相続登記やその他の相続手続きをする上での支障になります。また近隣住民に土地や家屋が被害を及ぼす恐れがある場合に、その責任の所在がわからないことにもなります。さらに言えば、経済的観点、防犯的・治安的・国防的観点からも好ましくない状況だと思います。

私見ですが、相続登記義務化を周知徹底するには、やはりテレビCMが良いと思います。相続に関することを身近に感ずる世代は、やはり、依然としてテレビを通じて情報を得ることが多いと思うからです。

しかし、相続登記の義務化に関する全国規模でのテレビCMは現在のところ放映していないようです(※)。色々とお忙しいと思いますが、相続登記の義務化に関係する各関係機関のご担当者様には、あらためて相続登記の義務化の重要性を認識していただき、ぜ全国規模でテレビCMを展開し、相続登記義務化の周知徹底を図っていただきたいと思います。

また、このブログを読んだ方も相続登記義務化の重要性を認識してほしいと思います。

 

※各地域の司法書士会、司法書士事務所、不動産業者などが個別に相続登記義務化に関連するテレビCMを放映しているようです。

※「政府広報オンライン、相続登記義務化」等のワードでネット検索をすると、相続登記義務化に関する政府広報オンライン動画を見ることができます。わかりやすい動画なので興味のある方はぜひ見てください。

 

 

先日、複数の土地をまとめて一括申請で相続登記しました。租税特別措置法第84条の232項の適用により、土地のほとんどについて登録免許税が非課税になり、課税対象の土地は1筆のみでした。きちんと計算したわけではありませんが、そこそこ登録免許税額は安くなったと思います。

 

租税特別措置法第84条の232項は相続登記の対象となる土地1筆の評価額が100万円以下の場合は登録免許税を非課税と定める規定です。例えば1筆の土地の評価額が99万円の場合、登録免許税はその土地については課されないとことになります。1筆の評価額が99万円の土地が10筆あっても、全て100万円以下なので、相続登記の登録免許税は非課税ということになります。

 

※租税特別措置法第84条の23項は、死者名義に土地の相続登記をする場合に非課税とする規定です

租税特別措置法第84条の23第1項及び第2項は土地についての規定なので建物は対象外です。

 

この租税特別措置法第84条の23項及び2項は、時限立法なので、令和7331日までにする相続登記が対象になります。延長される可能性が高いと思いますが、ただ、これだけは国の政治や財政状況などが絡むことなので、断言はできません。相続登記を予定しており、なるべく費用を安く済ませたいと考えている方は、平成7331日までに相続登記をした方が良いと思います。

 

 租税特別措置法第84条の23項及び第2項の適用を受けるためには、登記申請書に記載する登録免許税の部分に、例えば「租税特別措置法第84条の23項により非課税」と記載する必要があります。忘れずに記載してください。

 

相続登記に関する登録免許税については、相続登記の登録免許税の項目に詳細な記載があります。興味のある方はぜひお読みください。

 

相続登記等でお困りの方は、相続に強い鎌田司法書士事務所ライトコードに、お気軽にお問い合わせください。

 

 

前のブログでは事務所によくあるお問い合わせについて書きましたが、今回は相続登記のご相談の際、登記に必要な書面を説明した時によく聞かれる質問について書きます。

相続登記必要書面の説明をしているときに、「被相続人の登記済権利証(以下、登記済証 )はいらないのでしょうか?」という質問をよく受けます。

基本的には相続登記において被相続人が不動産を取得したときの登記済証は不要です。

そもそも相続登記の原因である相続は被相続人の死亡によって生じます。また相続人に不動産の権利が承継された事は被相続人と相続人の戸籍を見ればわかります。つまり公的書面である戸籍をひもとくことによって、おのずと不動産の権利関係が移転することがはっきりするので、登記済証を添付しなくてもよいということです。

(複数の相続人中、誰かが不動産を相続する場合は、戸籍に加え、遺言書、遺産分割協議書等を添付します。)

 

しかし例外的に登記済証が必要な場合もあります。

相続登記に必要な書面として被相続人の住民票除票または戸籍の附票があります。保管期間の経過などによりこれらの書面が役所で取得できないことがあり、このような場合は被相続人の住所関係を証する書面として登記済証を添付することがあります。

ただこれは例外的な場合なので、基本的には登記済証は相続登記には不要だと思っていただいて結構です。しかし、相続登記が完了するまでは被相続人が不動産を取得したときの登記済証は権利を証する書面ですので大切に保管をお願いします。

 

相続登記が完了すると被相続人の登記済証はいわゆる空権利証となり、権利を証するものではなくなります。「この空権利証を処分してよいのか」、との質問も受けることがあります。私個人と考えとしては、そんなにかさばるものでもないので、過去の情報が記載された記録として保管しておくのがベターだと思います。 

 

相続登記が完了すると、新たに登記名義人になった方に登記識別情報通知が発行されます。まさにこれは権利を証するものですので大切に保管をしてください。(※)

 

かつては登記済権利証と言う書面が、権利の存在を証するものとして発行されていました。現在は登記の電子化に伴い、登記済証ではなく登記識別情報通知が発行されます。登記識別情報通知に記載された情報そのものが権利を証明するもの(権利の存在を確認するもの)となっております。

当事務所にくる、お問い合わせで割と多いのが、抵当権抹消登記の費用・報酬に関するものです。そこで今回は抵当権抹消登記関連のお話しをします。

このブログでお伝えしたいポイントは、抵当権抹消はわりと簡単な登記なので自分でもできるという点と費用・報酬に関することです。

 抵当権抹消登記の費用・報酬に関することについて、よくお問い合わせをいただきます。仮にお客様が抵当権抹消登記について費用・報酬をかけたくないということに重きを置くならば、司法書士に払う報酬が発生しませんので、ご自分で登記申請をするのがよいと思います。

今はネットで検索すれば抵当権抹消登記の申請書の記載例や、添付書類なども簡単に調べることができます。(登録免許税は不動産1個につき1000円です)

特殊な事案でないかぎり、抵当権抹消登記は一般の方でも簡単にできる登記なので、費用・報酬を抑えたい場合は、ご自分で登記申請するのもありだと思います。

 

※わからない部分があれば法務局の無料相談もあります。予約なしで行くと長時間待たされる可能性がありますので、法務局の無料相談を利用する場合は事前に予約をしたほうがよいでしょう。

 

次に報酬に関することですが、抵当権抹消登を司法書士に依頼したらどのくらいの報酬になるかは気になるところだと思います。当然、案件ごとに多少の差異はありますが、令和6年現在、抵当権抹消登記の司法書士報酬の相場は15,000円前後だと思います(当事務所もこの相場でやっております)。

抵当権抹消登記を格安の報酬でやる司法書士事務所もあります。格安報酬の司法書士事務所の仕事の信頼性については、他の事務所の事なのでわかりませんが、少しでも安くしたい場合は、ネットで探せば格安報酬の司法書士事務所は割と見つかるのではないでしょうか。

 

抵当権抹消登記の費用・報酬をどうしても減らしたい場合は、ご自分で登記申請するか、費用・報酬の安い司法書士事務所を探して、費用・報酬の安い司法書士事務所に依頼することがベターだと思います。

 

しかし、近くに信頼できそうな司法書士事務所があり、今後も何かと気軽に司法書士に相談したいとお考えの方は、仮にその司法書士事務所の報酬が相場の1万5千円前後だとしても、近所の司法書士事務所に抵当権抹消登記を依頼した方が良いともいえます。いちど仕事を依頼し、それにより、よい関係性が築ければ、その後、その司法書士に気軽にいろいろと相談することができますからね。

最終的には、何を重視するのか踏まえ、ご自身の判断で決めて下さい。

 

※本ブログはあくまで参考程度にお読みください。最終的にはご自身の判断で決めてください。

 

 

前回のブログで、被相続人の死亡日時がはっきりしない場合の相続登記の原因について説明しましたが、被相続人同士で死亡日時の前後がわからない場合はどのような扱いになるのでしょうか?

その場合は、同時死亡の推定の規定(民法第32条の2)により相続関係を処理することになります。今回のブログでは「同時死亡の推定」について簡単に説明しますので興味のある方はぜひお読みください。

相続は死亡日時の前後により相続関係が、がらりと変わってきます。

例えば父親と子が車に同乗中、誰もいない山奥の道路で崖から落ちて、二人とも死亡したとします。父と子の死亡の前後が不明の場合には、同時死亡の推定の規定(民法第32条の2)により処理されることになります。この規定を適用すると父と子の間では相続は生じませんが、子に子がいる場合には代襲相続が生じることになります。

父と子の間では相続が生じないということをもう少しわかりやすく説明すると、「父の遺産相続については子が存在しない」、「子の遺産相続については父が存在しない」ものとして相続関係を処理するということです。

この事故の例で考察してみましょう。父と子の死亡の前後は不明です。父には妻(子から見ると母)がいます。父の直系尊属はすでに亡くなっており、父には兄弟姉妹もなく、また亡くなった子供以外に子供がいないとすると、父の遺産全てについて妻が相続することになります。この場合、通常の相続であれば、妻2分の1、子2分の1の相続分となりますが、同時死亡の推定の規定を適用すると、子供が存在しないことになるので、配偶者がすべての遺産を取得することになるのです。また、前記の例で子に子(父から見ると孫)がいる場合は、父の遺産相続について代襲相続が生じ、妻と子の子(父から見ると孫)2分の1ずつ、父の遺産を相続することになります。

また、同時死亡の推定の規定はあくまで推定なので、前記の例で明確に父が先に亡くなったという証拠があれば推定は覆され、父の遺産相続につき、妻と亡くなった子が父の遺産を相続することになります。

同時死亡推定の規定が適用となり、これにより相続関係を処理する事案は少ないと思います。しかし、地震や津波など災害が多い日本においては、同時死亡の推定の規定が適用される相続事案はないわけではありません。

相続に関する知識の1つとして同時死亡の推定の規定があるということと、そのおおまかな内容については覚えておいた方が良いと思います。

同時死亡の推定が適用となる相続事案は、一般の方にとって相続関係をきっちりと把握することは難しいと思います。相続関係を間違えた状況で遺産分割協議などをすると、後で遺産分割協議のやり直しをすることにもなりかねません。やはり相続に詳しい司法書士や弁護士などの専門家に相談した方が安心だと思います。

当事務所は相続に強い司法書士事務所です。相続でお困りの場合は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。 

先のブログでは相続登記における登録免許税に関することを書きましたが(※)、それ以外にも一般の方が相続登記をする場合において注意すべき点や見落としがちな点がいろいろとあります。

今回は被相続人の死亡日時がはっきりとしないの場合の相続登記について記載します。ご自分で相続登記をする予定の方はぜひ参考にしてください。

 

※先のブログで告知した通り、「相続登記の登録免許税」の項を当ホームページにアップしました。興味のある方はぜひお読みください。

 

死亡日時が確定できない場合はいろいろとありますが、例えば、一人暮らしの方がご自宅でお一人の時に亡くなると死亡日時が確定できないことがあります。このような場合に戸籍に記載される死亡日時は「推定〇年〇月〇日〇時死亡」とか「年月日不詳」などとなります。このように死亡日時が確定できない時の相続登記の登記原因は単に「令和〇年〇月〇日相続」とするではなく「推定令和〇年〇月〇日相続」とか「年月日不詳相続」等の文言にします。

つまり、戸籍上の記載が「推定〇年〇月〇日死亡」とか「年月日不詳」のような場合には、登記原因も戸籍に準じて、「推定令和〇年〇月〇日相続」とか「年月日不詳相続」等の文言を使うのです。

 しかし、一般の方が相続登記をする場合、戸籍の「推定〇年〇月〇日死亡」の「推定」の文言を見逃したり、「推定〇年〇月〇日死亡」と言う記載を認識していても、登記原因として「推定〇年〇月〇日相続」と登記申請書に記載しない場合が多いのではないでしょうか。このような場合には法務局から補正指示の連絡が来る可能性が高くなります。「申請書の登記原因に推定の文言を入れて下さい」などと連絡が来ることになります。

 相続登記の申請をご自分でする方は、被相続人の戸籍を見る際には必ず死亡日時に注意をして、「推定〇年〇月〇日死亡」、「年月日不詳」との記載が戸籍にあれば、登記原因も「推定〇年〇月〇日相続」、「年月日不詳相続」などと記載するようにしましょう。

 

相続登記をご自分でやる場合、途中でその面倒なことに気づいたり、時間がなくて全然前に進まない状況になったりする事はよくあることです。そのような場合には相続に強い当事務所にお気軽にご相談ください。 

相続登記の義務化の規定が令和641日から施行となりましたが、ご自分で相続登記の申請をしようと考えている方もいるかと思います。

一般の方がご自分で相続登記を申請する場合に意外と面倒なのが登録免許税に関することだと思います。

そこで、相続登記をする場合の登録免許税について、当ホームページに「相続登記の登録免許税」という項目を新たに追加する予定です。来週位にはアップする予定ですので、相続登記の登録免許税の算出方法などでお悩みの方はぜひご確認ください。

 〇来週アップ予定の「相続登記の登録免許税」の項の内容の概要は以下の通りです。

・相続登記の登録免許税の税率について

・相続登記の登録免許税の具体的な算出方法

・不動産の評価額の調べ方と固定資産評価証明書について

・相続登記の登録免許税が非課税となる場合

・相続登記の登録免許税算出や登記申請等に行き詰まった場合の対処法

 以上の内容が記載された項目になる予定です。興味のある方はぜひお読み下さい。

現在は核家族化が進み、お盆に親戚一同が集まることも昔に比べ少なくなっていると思います。それでも初盆などの場合には親族が集まることも多いと思いますし、お墓参りなどで親戚同士が会うこともあるでしょう。

お盆の時期は親族が集まる機会が通常の時期に比べて多くなるので、まだ相続登記をしていない不動産がある場合などには、遺産分割協議の話し合いをする貴重なチャンスとなります。

相続人同士がそれぞれ個別に話し合いをするよりも、親族一同が揃っている時の方がそれぞれの意見や希望を聞きやすいですし、誰がどんな考えを持っているのかわかりやすいと思います。

その場で遺産分割の方向性が決まれば、相続登記未了の不動産がある場合などには、相続登記をするにあたり、かなり前進することになります。

 不動産登記の義務化が施行されて3ヶ月が経ちました。実質的には3年弱の猶予期間はありますが、将来的には必ず相続登記をしなければいけなくなります。

相続登記が未登記の不動産がある場合には、親族が集まる機会が多いお盆の時期に、未登記の不動産について、どのように遺産分割をするのか話合いをした方が良いでしょう。

特に数次相続の場合は相続人の数も多くなりますので、親族一同が集まる機会が多いお盆の時期に、相続登記や相続手続きに関する協議や話合いをしてみてはいかがでしょうか。

 

数次相続⇒被相続人の死亡時には生きていた相続人が、被相続人の相続手続きが終わらないうちに死亡して、その相続人の相続が開始すること。

代表相続人とは相続人が複数いる場合に、相続人を代表して各種の相続手続きを行う人のことです。一般的には遺産分割協議書で定めることが多いです。

 

相続の手続きには、銀行預貯金の相続手続き、相続登記の手続き、相続税申告の手続きその他いろいろな手続きがありますが、各相続人がバラバラに相続手続きを行うと、それぞれの手続きが、どんな状況なのか分からなくなることにもなります。また相続人の中には時間のある人、時間を作れる人、多忙で時間がない人など様々な人がいます。

そこで相続人中の誰かを代表相続人として定め、その代表相続人が相続手続きを進めることが有益になります。

 

実際の相続手続きにおいても、相続人が自ら相続手続きをしなければならない場合を除き、代表相続人を1人定めて、その代表相続人が相続手続き全般を取り行うことが割と多いと思います。

 

遺産分割協議書で代表相続人を定める場合の記載例は下記のようになります。

記載例)

1、代表相続人は○○とする。〇〇は相続人を代表して各種の相続手続きをする。

 

代表相続人の行う相続手続きの内容をより細かく具体的に定めることもありますが、基本的な記載例を書きました。

 

具体的な相続案件ごとに特殊な事情があると思います。本ブログはあくまで参考として捉えてください。

 

代表相続人は相続人を代表して相続手続きをします。銀行の相続手続きでは、一旦代表相続人の口座に入金がされ、それを代表相続人が遺産分割協議書に基づき各相続人に振り分けると言う形になることが多いです。(厳密には金融機関ごとに差異はあります)

このように本来自分のお金ではないお金を一時的に預かったりするわけですから、責任感やモラルのある方が代表相続人になるほうが良いのは当然ですし、相続手続きは煩雑な手続きも多いので、手続きをするための時間を取れる方の方が良いです。

 

代表相続人として適した人としては、「手間をいとわない方」、「責任感のある方」、「時間の取れる方」、「法律的な知見などを持ち合わせた方」、「気力・体力がある方」などです。

前記のような資質を全て兼ね備えていなくても、より、ベターな人を代表相続人に選びましょう。

 

 

〇まとめ

代表相続人を定める事は義務ではありませんし、法律にも特に規定があるわけではありませんが、やはり代表相続人を定めて、代表相続人が相続手続きをまとめて処理したほうが、手続きがスムーズなることが多いと思います。 

 

代表相続人になった相続人は、しっかりと責任感を持って相続手続きを行うべきですし、他の相続人は、代表相続人がうまく相続手続きができるよう協力すべきでしょう。

 

 

具体的な相続案件ごとに特殊な事情があると思います。本ブログはあくまで参考として捉えてください。

 

相続手続きでご不明な点などがあれば、相続手続きに強い当事務所にお気軽にお問い合わせください。

 

 

原本還付とは、不動産登記申請において、添付書類のコピーと原本を申請書に付けて、原本は登記完了後に返却してもらうことを言います。

ご自分で登記の申請するときは基本的に原本還付をしましょう。

 

最近は、物価の急激な上昇などで出費を抑える方が多くなり、簡単な登記は司法書士に頼まずに、ご自分で登記をする方もいると思います。

 

特に抵当権抹消登記などは割と簡単な登記ですので、金融機関から抵当権抹消書類が来たら、その書類を使い、ご自分で登記をするのもありだと思います。

 

相続登記も複雑な相続関係などはなく、法定相続分で相続登記をする場合などは、一般の方でも、時間や手間などを惜しまなければ、面倒だとは思いますが、ご自分で登記することは可能だと思います。

被相続人の出生からの死亡までの戸籍を集める際、戸籍のつながりを確認するあたりが大変だと思いますが、その辺がクリアできれば何とかなるとは思います。

この相続登記の申請においても戸籍や住民票等の原本還付ができます。

 

相続登記には法定相続情報(※)を使う場合と使わない場合があります。

法定相続情報は相続手続きを要する金融機関等が多数の場合には作った方が良いと思いますが、手続きをする金融機関が1つしかないような場合には、わざわざ法定相続情報を作らなくても良いと思います。

法定相続情報を作らない場合は、戸籍等が相続登記以外の銀行等の相続手続きでも必要になりますので、相続登記申請の際は必ず戸籍等を原本還付しましょう。

 

法定相続情報を使わない相続登記においては、相続関係説明図(※)を添付することで戸籍等の原本還付ができます。相続人等の住所を記載した相続関係説明図と住民票除票・住民票のコピーを申請書に組み込み、戸籍や住民票除票・住民票の原本をまとめて申請書の1番後ろにつけます。また固定資産評価証明書も添付書類となりますが、これも原本還付できますので、コピーを申請書に組み込み、原本は申請書の後につけます。原本還付する戸籍・住民票や固定資産評価証明書には「原本還付をお願いします」と記載した付箋などを貼っておきます。こうすると戸籍・住民票や固定資産評価証明書の原本が戻ってきますので、他の相続手続きや相続税の申告などでまた使うことができます。

                                                                                    

相続登記をする場合に、原本還付できるのに原本還付しないと、他の相続手続きをする時に、同じ戸籍等を再度取得することになり二度手間になります。

一般の方がご自分で登記申請する場合には、基本的に原本還付できる書面は原本還付したほうが良いでしょう。

また、ご自分で相続登記をするか、あるいは司法書士に頼むかで迷っている場合には、お客様の事情、費用・報酬、手間等をふまえ、アドバイスをさせていただきますので、お気軽に当事務所にお問い合わせください。

 

※司法書士に相続登記を頼むか否かについては当ホームページの相続登記 司法書士に頼むか?本人申請か?」のにも詳細な記載がありますのでご参考ください。

 

※法定相続情報⇒当ホームページの法定相続情報証明制度」の項をご参考ください。

 

※相続関係説明図⇒その名の通り相続関係を説明する書面。被相続人と相続人の死亡時住所と住所を記載すると戸籍だけではなく住民票除票・住民票等も原本還付できる。法定相続情報はだれが法定相続人になるかを表すが、相続関係説明図は遺産分割協議等により所有権を取得した相続人なども表す。

 

法定相続情報を使い相続登記を申請する場合は法定相続情報自体が戸籍の代わりになりますので、戸籍の添付自体が不要になります。法定相続情報を作成するか否かは前記の通り、やるべき相続手続きの数にもよりますので、諸状況を勘案して決めてください。 

 

 

相続税の申告は基本的に被相続人が死亡した日の翌日から10ヵ月以内にするという規定があります。また相続登記は義務化の規定が施行されたので、基本的に被相続人の死亡から3年内に相続登記をする必要があります。遺産の中に不動産があり、かつ遺産が相続税の控除額を超える場合には、相続税の申告と相続登記をすることになります。

 前記のような場合には、一般的に税理士が遺産調査等をやり、相続人の利益を考え、相続税申告のために1番適した遺産分割協議書を作成し、相続人全員の合意を経て相続税の申告をします。その後に司法書士がその税理士作成の遺産分割協議書を使い相続登記をするということが多いと思います。

 このような事情があるので、「相続税を申告する前には相続登記ができないのではないか」と考えている方もいるかもしれません。しかし特に相続税の申告と相続登記の前後について制限する規定はありませんので、相続税申告の前に相続登記をしても法律上は全く問題ありません。相続税申告の後に相続登記をしなければならないと思っていた方はご注意ください。

 例えば遺産中の不動産を自己の名義にした後に、その不動産を売却したいので、早く不動産の名義を自己の名義にしたいと考えているような場合には、不動産の権利帰属者が遺産分割協議で明確に決まったら、先に相続登記をしても良いとは思います。

ただ相続税申告において、どのような申告方法がベストなのかを考慮すべきなので、当該相続人は税理士には事情を話して、相続登記を早めにしたい旨を伝えるべきだと思いますし、また司法書士にも相続税申告より先に相続登記をしたい旨を伝えるべきだと思います。

司法書士が相続税の申告より先に相続登記をする場合には、その遺産分割協議の内容が税務上、相続人の利益になるか否かを相続人または税理士に確認すべきですし、相続税法上のメリット・デメリットがまだ不確定な場合には、どのような遺産分割協議の内容が良いか確定するまで相続登記を控えるべきでしょう。

 当事務所は提携している税理士がいるので、税理士の行う相続税の申告と司法書士の行う相続登記を連携して行うことができます。相続人にとって一番適した相続税の申告と矛盾せずに、先に相続登記をする事が可能です。相続税の申告よりも先に相続登記をしたいとお考えの方は、お気軽に当事務所にお問い合わせください。

 

 

 

遺産分割協議書という書面は皆様も知っていると思いますが、遺産分割証明書という書面については知らない方も多いのではないでしょうか。

遺産分割協議書も遺産分割証明書も遺産分割協議の成立を証するという意味では同じ性質を有する書面といえます。どちらも相続登記などの手続きを進める上で重要な書面です。

 

遺産分割協議書と遺産分割証明書の1番の違いは書面のフォーマットにあります。遺産分割協議書には相続人全員分の署名押印欄があるのが基本形です。これに対して遺産分割証明書には署名押印欄が相続人1人の分しかありません。

遺産分割協議書は1通で遺産分割協議の成立を証明しますが、遺産分割証明書は相続人全員の分が揃い、初めて遺産分割協議の成立を証明するということになります。

 

このフォーマットの違いにより遺産分割証明書には利便性が生じることになります。

例えば相続人が10人いる場合を考えてみてください。10人分の署名押印欄が記載されている遺産分割協議書を10人の相続人にまわして署名押印するというのは非常に手間ですよね。各相続人の住所が離れている場合などには郵送等でやりとりをしますが、かなりの手間と時間がかかると思います。また誰かが署名押印を失敗した場合には、また最初から相続人全員が署名押印をやり直すということにもなりかねません。

 

これに対して遺産分割証明書は各相続人が自己の分1通に署名押印をすればよいので、相続人の間での郵送等でのやりとりは不要になります。代表相続人(※)などが各相続人に遺産分割証明書を郵送し、各相続人から返送してもらえばよいことになります。

また、仮に相続人が署名押印に失敗した場合でも、その人についてだけ署名押印をやり直してもらえばよいことになります。相続人が多くなればなるほど遺産分割証明書を使う利便性は増します。逆に言えば相続人が23人で皆近所に住んでいる場合などであれば、わざわざ遺産分割証明書にすることもないので、遺産分割協議書でよいということになります。

 

相続が発生して相続人が多数になる場合には、遺産分割証明書の作成を考えてみてはいかがでしょうか。

 

遺産分割証明書の文言やフォーマットは「遺産分割証明書ひな形」等でネット検索すれば色々と出てきます。自己の相続案件に適したひな形を参考にしつつ作成するのが良いでしょう。

 

また、遺産分割証明書の作成を司法書士に依頼したい場合には、当事務所にお気軽にお問い合わせください。

 

代表相続人⇒相続人を代表して各種の相続手続きをする人。一般的には遺産分割協議書で定められることが多い。

 

 

 

相続登記義務化の規定が施行されたことで、相続登記に関するお問い合わせ等が例年に比べて若干ですが増えました。

そのお問い合わせやご相談中にたまにあるのが、建物について登記をしていないという事案です。未登記の建物でも固定資産税は取られますので、建物の存在自体は当然知っていても、登記の有無については把握していない方が意外といるな、という印象を受けました。

 

基本的には建物を新築した時には表題登記(※)しなければなりません。しかしこの義務規定が実質的には運用されているとは言えません。表題登記をすると専門家に払う報酬等でお金がかかることになります。「登記しなくてもいいのではないか」と考える方も出てきます。地方にある小規模の別荘や建物などでは表題登記もされていない未登記の建物がわりとあるのではないでしょうか。

 家屋の所有者が公示されていないという事は、その建物が近隣に迷惑を及ぼす恐れがあっても、誰に注意をしたらいいか分からなくなります。公益性を考えれば、やはり多少費用がかかっても表題登記はやるべきだと思います。

 

そもそも登記がされていなかったという場合には、まず表題登記をすることになります。その後に権利の登記(※)として所有権保存登記(※)をするという段取りになります。 

表題登記については土地家屋調査士が専門的分野ですのであまり詳しくはここで述べる事はしませんが、まずは土地家屋調査士が表題登記をして、その後に司法書士が権利の登記(保存登記)をするという流れになります。権利の登記は第三者対抗要件(※)を得るためにもした方がよいでしょう。

 

〇まとめ

未登記不動産がある方は、相続登記義務化の規定が施行されている現在においては、将来的な相続登記もふまえ、今のうちに表題登記及び権利の登記(保存登記)をした方が良いでしょう。ご心配な方は、早めに土地家屋調査士か司法書士に相談した方が良いでしょう。

 

※表題登記⇒登記簿の表題部に記載される。不動産の物的状況を表している。

 ※権利の登記⇒登記簿の権利部に記載される。甲区と乙区に分かれている。不動産の権利関係を表している。

※所有権保存登記⇒もともと有する所有権を公示するための登記。売買等で新たに取得した権利ではなく、既に有している所有権を公示するので保存登記と言う。

※第三者対抗要件⇒権利の登記をすることによって、所有権等を取引当事者だけではなく、取引当事者以外の第三者すべてに所有権等を対抗(主張)できる効力

※前記の各ワードの説明はわかりやすくするため、ざっくりとしたものになっています。

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