「お盆やお正月などに親族が集まった時には相続に関する話合いをしてみてはいかがでしょうか」という内容のブログを過去にもいろいろ書きました(2024-12-27、2024-7-25他)。今回は遺言に関しての話です。具体的に言うとお盆などで、親子などが集まった時に遺言に関することを話題にしてみてはいかがでしょうかという話です。
最終的に遺言書を作成するか否かは遺言者(将来の被相続人)が決めるべきですし、その内容についても当然、遺言者の意思・考えにより作成されるべきです。ただ、残された推定相続人※(以下、単に相続人と記載)の側から見れば、遺言書を残してくれたほうがいいような場合があります。
相続人の間の折り合いが悪くて、将来、相続が発生した場合に協議がまとまらず、相続人の間で争いが発生する可能性が高い場合や、被相続人の意思を尊重して相続手続きを進めたいとの相続人の考えが一致しているような場合です。
このような場合には相続人がまだ存命の被相続人に対して、遺言書の作成を勧めるのもベターだと思います。
※推定相続人⇒ある人が亡くなった場合に相続人になる人
遺言書を作成する1番の利点は、基本的に遺産分割協議が不要になる事です。
これにより相続人間で相続に関することで争いになる可能性は低くなります。
また本来的に被相続人の財産である遺産を被相続人自身の考えで処分することができることも利点です。
全く遺言書の作成を考えていない方でも、相続人の方から前記のような事情や利点を説明すれば遺言書を作成するとの考えに変わるかもしれません。
お盆やお正月と言うのは親族が集まるめったにないチャンスです。相続が開始してもバタバタしないように、遺言に関することや相続に関する事をいろいろと親族間で話し合ってみてはいかがでしょうか。
※遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言、自筆証書遺言で法務局に保管する場合(自筆証書遺言書保管制度)などいろいろな種類、方法がありますが、証拠能力や保管のことを考えると、公正証書遺言や自筆証書遺言書保管制度がベターだと思います。ただ、遺言書にはいろいろな作成事情や作成状況があるので、その状況下でベストの選択をして下さい。
※当然ですが最終的に遺言の内容は遺言者自身が考え、判断して決めます。相続人側の考えや主張を押し付けないようにしましょう。また、強制的に遺言書を作らせた場合などには、民法第891条(相続欠格事由)の規定により相続人たる地位をなくす可能性があります。
※当ホームページには「遺言書作成のすすめ」の項があります。興味のある方は、ぜひ、そちらの項もお読みください。