遺産分割協議書や遺言書の不動産の記載方法

相続に関する打ち合わせの時に、お客様が持参した遺産分割協議書や遺言書を拝見しますが、その時によく見るのが、遺産である不動産を住所を用いて表記したものです。

例えば、住所を記載して「杉並区荻窪〇丁目〇番〇号の土地は誰誰が相続する」「杉並区阿佐谷南〇丁目〇番〇号の土地を誰々に相続させる」などです。

前記のような住所による記載方法だと、不動産の特定ができず、登記ができない可能性が生じてきます。せっかく苦労して遺産分割協議書や遺言書を作っても無駄になる可能性があるのです。不動産の記載方法には特に注意が必要です。

 

※住所と不動産の所在・地番は異なるものです。混同している方がいますが、住所は他人である複数人が同じ住所の場合もあり、不動産の特定と言う意味では難があります。住所で不動産を表記すると相続登記ができない場合もありえます。

 

□まず不動産の情報がないと、不動産の正確な記載ができませんので、それを調べるため、最新の不動産の登記事項証明書(不動産登記簿謄本)を取得することから始めてください。遺産に含まれる不動産を取得した時の権利証(登記済証・登記識別情報)などがあれば、それをガイドにして、お近くの法務局(登記所)で登記事項証明書を取得してください。権利証等がなくて不動産の所在、地番などが不明な場合は、法務局に問い合わせをすれば、地番等を教えてくれますので、それをガイドに登記事項証明書を取得してください。(※登記事項証明書は郵送等でも取得が可能です)

そして、必ず、取得した登記事項証明書で権利関係を確認してください。現在の名義人、共有の場合は、共有者の名義、各持分などです。「登記簿上の名義人が父ではなく、祖父のままだった」などということは、時々ありますので、注意が必要です。

ひと手間かかりますが、最新の登記事項証明書を取得し、権利関係等を確認して問題がなければ、その登記事項証明書の記載に沿って、協議書・遺言書に不動産の表示を記載します。

 

□下記に、具体的な不動産の記載方法を記します。遺産分割協議書や遺言書を作成する場合の参考にしてください。

 

〇不動産の記載例

登記事項証明書に、所在、地番、家屋番号などの各項目がありますので、それに即して、正確に記載してください。

 

相続財産中、下記の不動産については、〇〇が相続する」 (遺産分割協議書の場合) 

「下記の不動産は〇〇に相続させる」 (遺言書の場合)

上記文言の下に、不動産の表示を記載します。

 

 

@   敷地権付区分建物(マンション)の記載例

 

不動産の表示

 一棟の建物の表示

  所   在    杉荻市杉荻町123番地4 

  建物の名称   杉荻町マンション

 専有部分の建物の表示

  家 屋 番 号   杉荻町123番4の567

  建物の名称    567

  種     類    居宅

  構    造    鉄筋コンクリート造1階建

  床  面  積    5階部分 55.55平方メートル

 敷地権の表示

  所在及び地番    杉荻市杉荻町123番4

  地     目     宅地

  地     積     12345.67平方メートル

  敷地権の種類    所有権

  敷地権の割合  10000分の123

 

 

A   戸建ての土地と建物の記載例

 

不動産の表示

  所  在   杉荻区杉荻五丁目 

  地  番   123番4 

  地  目   宅地 

  地  積   123.45平方メートル 

 

  所  在   杉荻区杉荻五丁目123番地4 

  家屋番号   123番4
  種  類   居宅
  構  造   木造スレート葺2階建
  床 面 積   1階 55.55平方メートル   

          2階 55.55平方メートル

        

※Aの上の部分が建物の底地(土地)の表示で、下の部分が建物(家屋)の表示です。 

 

B    Aの文字を小さくして行間を詰めたもの。

 

不動産の表示

  所  在   杉荻区杉荻五丁目
  地  番   123番4
  地  目   宅地
  地  積    123.45平方メートル 

 

  所  在    杉荻区杉荻五丁目123番地4 

  家屋番号    123番4
  種  類    居宅
  構  造    木造スレート葺2階建
  床 面 積    1階 55.55平方メートル   

           2階 55.55平方メートル


※このB方法は、1枚の用紙に多くの情報を盛り込むことができるのでお勧めです。ただ、文字サイズ、行間の調整は普通に見ることができる程度にして下さい。

 


〇まとめ

上記の不動産の各記載例は不動産登記(相続登記)の申請書と同じ書き方です。省略した書き方もありますが、万全を期すならこの記載方法が良いでしょう。

遺産分割協議書や遺言書における不動産の記載方法は、相続登記の手続きと関連して非常に重要な部分です。遺産に不動産がある場合の相続について、遺産分割協議書や遺言書を作成するときは、ぜひ、本項をご参考下さい。

 

 

※遺産分割協議書や遺言書全体の書式については、ネットでいろいろな種類のものが検索できますので、自分の状況に即した書式を探して、それを参考にして下さい。

 

※当ホームページには、遺産分割協議に関する「相続と遺産分割」「相続人に未成年者がいる場合の遺産分割協議」「遺産分割協議と法定相続分の修正」の項と遺言書に関する「遺言書作成のすすめ」と「相続と遺言書(遺言書の相続法改正詳細)」の項があります。興味のある方はぜひそちらもお読み下さい。

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