○民法900条4号
4 子、直系尊属又はきょうだい姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし(嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とし、)父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。
※括弧内は平成25年の改正で削除⇒前項参照
本項では民法900条4号ただし書き後半を説明します。
ただし書きの前半部分は前項のとおり法改正があり、現在は削除されています。
この民法900条4号ただし書きの後半部分は、ちょっと唐突でわかりにくいかと思います。具体例で説明するとわかりやすいと思いますので、以下、具体例で説明します
本条文の適用となるのは、被相続人の兄弟姉妹が相続人となる場合です。これには2つの場合があります。例1・例2
例1⇒被相続人の配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合
被相続人に配偶者はいるが、子はなく、父母等直系尊属もすでに全員死んでいる場合で兄弟姉妹がいる場合。
※もし子供または直系尊属がいれば、配偶者と共にそれらのものが相続人となるので、兄弟姉妹が相続人となることはありません。
例1)被相続人がAで配偶者Eはいるが子供はなく、直系尊属甲・乙もすでに死んでいる場合で兄弟姉妹がいる場合。
丙(後妻)=== 甲 === 乙(前妻)
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D C B A = E
A:被相続人
E:Aの配偶者
甲・乙:Aの直系尊属(すでに死亡)
B ・C :Aの全血兄弟
D:Aの半血兄弟
全血兄弟姉妹⇒父と母の両方が同じである兄弟姉妹
半血兄弟姉妹⇒父または母の一方のみが同じである兄弟姉妹
この場合の各相続分は以下になります。
E⇒3/4=15/20(被相続人の配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合の配偶者の相続分)
被相続人の配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合の兄弟姉妹の相続分の合計1/4
B:C:D⇒2:2:1(各相続人の相続分の割合)
∴ B ⇒1/4×2/5=2/20
C ⇒1/4×2/5=2/20
D ⇒1/4×1/5=1/20
例2⇒被相続人の兄弟姉妹が相続人となる場合
被相続人に配偶者も子もなく、父母等直系尊属もすでに死んでいる場合で、兄弟姉妹がいる場合。この例はわりとイメージしやすいかもしれません。
例2)被相続人がAで配偶者も子供もいなく、直系尊属甲乙も死んでいる場合。
丙(後妻)=== 甲 === 乙(前妻)
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D C B A
A:被相続人
甲・乙:Aの直系尊属(すでに死亡)
B ・C :Aの全血兄弟
D:Aの半血兄弟
この場合の各相続分は以下になります。
B:C:D⇒2:2:1(各相続人の相続分の割合)
兄弟姉妹のみが相続人なので、
B ⇒2/5
C ⇒2/5
D ⇒1/5
ポイント1
前記のとおり本条文ただし書きの適用となる場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続人となる場合で、2つの場合があります、この2つの場合に当てはまる事例かどうか、まずはご確認下さい。
ポイント2
半血兄弟姉妹が相続人となる場合は、相続分は全血兄弟姉妹の1/2ですが、相続人ですので遺産分割協議をする場合は協議の当事者となります。半血兄弟姉妹とは疎遠で顔も知らない、という場合もあり得ますが、半血兄弟姉妹も加えて遺産分割協議をしないと遺産分割協議が成立しませんので、ご注意ください。