まずは遺言書を書いてみよう!

□ホームページを開設したこともあり、以前にもまして、お客さまから様々な相続に関するご相談を受けます。ご相談で多いのは、遺産分割に関することです。例えば、「生前、亡き父が、家と土地は、親の面倒を見た私(お客様)にあげると言っていたのですが、そのことを他の兄弟に話すと、そんな話は聞いたことがないといい、亡き父の意思とは違う方向で遺産分割協議が進んでいるので、どうしたらいいでしょうか?」というようなご相談がありました。
この場合、そのお客様が、亡きお父さまの仕事を手伝い、その財産の維持増加に貢献したりしていれば、寄与分(下記※参照)を主張するということも考えられます。相続人間で寄与分を認めるとの協議がまとまればよいのですが、もし、まとまらなければ、家庭裁判所で寄与分を主張するということになります。また、寄与分の主張は遺産分割協議と一体でおこなわれることも多いので、最終的に家庭裁判所において、審判分割・調停分割になるということもじゅうぶん考えられます。
※寄与分⇒相続人の中で被相続人(お亡くなりになった方)の財産の維持・増加に特段に貢献した相続人がいる場合、その相続人の受ける相続分を増やすことが出来ます。その増加した相続分を寄与分と言います。

 

□ここからが本題です。この案件でいえば、亡きお父さまがきっちりと遺言を残していれば、相続人間で遺産分割協議の内容に関する考え方のくいちがいや、紛争が生じることが避けられた可能性が高いということです。自分は、自分が死んだ後の配偶者や子供の為になにができるのか、どうすればよいのか、ということを真剣に考えることは非常に大切で有益なことです。そして、その考えを遺言という形できっちり残せば、相続人の間で相続財産をめぐり争うという事態を避けられる可能性も高くなりますし、さらには自己の思いを配偶者・子供に伝えることもできるのです。


□遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。いずれも、法律で定められた要件を完全に満たさないと、遺言としての効力は生じません。この中で、自筆証書遺言のみ、公証人の関与も不要で、証人等も不要です。最近は遺言書の書き方を丁寧に説明する書籍も多数出ているので、自筆証書遺言を書いてみてはいかがでしょうか。自筆証書遺言は自分一人で作成できますので、とりかかりやすいと思います。主な欠点としては、遺言書の様式等に不備があり遺言の効力が生じない場合があること。作成した遺言書の保管・管理という点では公正証書遺言に劣ることなどがあげられます。しかし、まずは自筆証書遺言をきっちりと作成し、その後、不安に感じたら公正証書遺言を作成すればよいのです。(当然この自筆証書遺言は公正証書遺言のたたき台にもなりますのでけっして二度手間になることはありません)また、遺言は撤回できますし、さらに新たな遺言を作成することも可能です。(前の遺言と後の遺言の内容に矛盾点がある場合はその矛盾点については後の遺言で前の遺言を撤回したとみなされます)遺言書の作成を大変な作業と考える方が多いと思いますが、ポイントを押さえればハードルはそんなに高くはないはずです。まずは、実際に遺言書を書いてみる。 というのはどうでしょうか!


□以下、自筆証書遺言を作成する場合の重要なポイントを下記に記しますので、参考にして下さい。
・遺言の本文、作成日付、氏名は、自分で書く(自筆証書遺言といわれるゆえんです)
・印鑑は自分で押す
・遺言書で使用する、言葉や対象を明確にする
例えば相続や遺贈(遺言による贈与)の目的となる、物や財産などは可能な限り具体的に記載する。相続や遺贈を受ける人物は住所・氏名・生年月日で特定する。などです。
・共同遺言はできません。
例えばひとつの遺言書を、ご夫婦が共同で作成することはできません
※他にもポイントはありますが、まずは、書いてみるということが大切なので、基本的でかつ重要なポイントのみをあげました。

 

□最後に
遺言書には法的拘束力は生じませんが、自己の相続人(配偶者や子供達)に対する、「願い」や「思い」も書くことができます。(これを「付言」と言います)例えば、「どんなに困難な状況が来ようと、家族はみな助け合って生きてほしい」等の文言を遺言の内容として記載してもよいということです。被相続人の真摯な思いは必ず伝わるはずです。ご家族の将来を考え遺言書を作成し、残すということは、愛するご家族への最後のそして大切なプレゼントなのかもしれません。

 

当事務所は、遺言書作成、遺言書検認等の遺言書に関する業務もおこなっております。お気軽にご相談下さい。

 

 

※平成30年相続法改正により、遺言制度に関して重要な改正がありました。より自筆証書遺言がしやすくなりました。改正の概要は「相続法の改正」の項を、改正の詳細は「相続と遺言書」の項をご確認下さい。

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