〇死後事務委任契約とは

 相続に関するいろいろな手続きの中で、近年にわかに注目が高まっているのが、死後事務委任契約です。

 簡単に言えば、自分が死んだ後の各種手続き(※)を誰かに委任するということです。

例えば、相続人がいない、親族はいるが疎遠で連絡先もわからない、周りに頼れる友人もいないなどの事情がある人は、自分が死んだ後どのようにすればよいかお悩みなのではないでしょうか?

このような場合に弁護士や司法書士と死後事務委任契約をすれば、葬儀その他の自己の死後に行うべき各種の手続きを(※)自分の意思通りにやってもらうことができるのです。

 (※)例えば役所への各種届出、葬儀から埋葬までの一連の手続き、病院等への支払手続き、ペットがいる場合はペットに関する手続き、自宅の片付等いろいろあります。

 一般的には、相続人がいない、頼れる親族もいないなどの身寄りがない方が、死後事務委任契約を専門家に依頼する場合が多いと思いますが、葬儀などにこだわりのある方が、ご自身の親族等に任せておくと自分の意に反する葬儀が行われることを危惧して、死後事務委任契約を結ぶ場合もあると思います。

例えば、自分は海洋散骨葬を希望しているのに相続人や親族が反対している等です。死後事務委任契約を専門家とむすんでいれば、委任契約にそって受任者が希望通りの葬儀をしてくれることでしょう。

 

〇後見人・遺言執行者との違い

遺言執行者や後見人がいる場合は、わざわざ弁護士や司法書士と死後事務委任契約を結ばなくても死後の手続きができるのではないかと思う方もいると思います。しかし、基本的に被後見人が死亡すると後見が終了し、後見人の代理権等は消滅します(※)。

また、遺遺言執行者は法律で定められた遺言事項についての権限しかありませんので、相続人が反対している場合には、仮に遺言で葬儀の主宰者を遺言執行者と定めても葬儀の主宰はできないことになります。

このような法律上の隙間を埋め、滞りなく死後の事務処理を行うために、死後事務委任契約は存在しているともいえます。

 ※基本的に被後見人の死亡により成年後見は終了しますが、後見人は一定の保存行為や債務の弁済等はできます。また家庭裁判所の許可を得れば火葬や埋葬もできます。しかし葬儀については、後見人は原則として主宰することはできません。

 

〇死後事務委任契約の特性

 死後事務委任契約は委任契約の一種ですが、以下の点で特性があります。

 委任契約は、原則、委任者の死亡により終了しますが、死後事務委任契約は終了しません。また相続人は被相続人の地位を承継するのが基本ですが、相続人は死後事務委任契約を解除することができません。

 死後事務委任契約の条項を下記のように定めれば、前述のような特性を持たせることができます。

 

〇死後事務委任契約おける条項の記載例(Aを委任者とした場合)

 1 Aが死亡した場合においても本契約は終了せず、Aの相続人は委任者であるA

本契約上の権利義務を承継する。

 2 Aの相続人は本契約を解除できない。

 ※前記のような条項が有効であることは最高裁判例や高裁半例でも認められています。

 

 〇死後事務委任契約をするための流れ

 それでは具体的にどのような方法で死後事務委任をすればいいのでしょうか。

 まずは経験値の高い弁護士、司法書士などの専門家をインターネット等で調べます(※)。

例えば、「死後事務委任 弁護士 司法書士 東京」などのキーワードで検索して、ヒットした専門家のホームページを確認します。死後事務委任を積極的に業務としてやっている事務所があれば、そのような事務所に相談する事から始めるのが良いと思います。

 ※やはり経験値の高い専門家に頼んだ方がよいので、過去に多くの死後事務委任の案件を受任している専門家に頼んだ方が良いでしょう。

 専門家と面談して、自己の希望等を伝え、また、費用・報酬などについても相談します。価格を抑えたい場合はその旨を予め専門家に伝えたほうがいいでしょう。

それらをふまえて具体的にどのような方法で死後事務委任契約を締結するか決めます。

 

〇死後事務委任契約書の作成

契約書の作成方式については特に決まりはありませんので、当事者が作成した書面(私文書)でも基本的には問題ありません。その場合でも当事者が自書で署名し、実印を押して印鑑証明書も添付するということが基本になると思います。

しかし確実に自己の希望通りに死んだ後の手続きを進めたいのであれば、多少費用はかかりますが、公正証書(※)で死後事務委任契約を締結した方が安心です。

 ※公正証書⇒公証役場にいる公証人が作成する文書です。ご病気で動けない方などについては、日当はかかりますが、病院等に公証人に来てもらうことも可能です。

 ※専門家に払う費用・報酬は前払いになります。公正証書で契約書を作成する場合は公証役場に払う費用・報酬も発生します。価格を抑えたい場合は専門家にあらかじめその旨を伝えて、その上で専門家と相談した方が良いでしょう。 

 信頼できる専門家と綿密に相談した上で、死後に行ってもらうことをきっちりと死後事務委任契約書の内容にもりこみ契約を締結します。公正証書で契約を締結すれば、自分が死んだ後もよりいっそう安心だといえます。

 高齢あるいは重い病気にかかっているが身近に知合いや親族がいない、などの理由で自分の死んだ後のいろいろな手続きに不安を感じている方は、早めに専門家に相談した方が良いでしょう。

 

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