相続に関するご相談や相続登記を依頼するために当事務所にお客様が来る場合、戸籍を持参する方が多いのですが、住民票と住民票除票もあわせて持参する方はあまり多くはありません。相続登記には戸籍が必要なことは知っていても、住民票と住民票除票が必要なことについては割と知らない方がいるのかな、という印象です。
基本的に、相続登記には戸籍のほかに、不動産を相続する相続人の住民票と被相続人の住民票除票が必要であることを知識としてお持ち下さい。
また、住民票と住民票除票をお持ちいただいた場合にその内容を確認すると、住民票や住民票除票に本籍が記載されていないことがあります。
相続登記のため住民票や住民票除票を取得する場合には、戸籍と住民票・住民票除票の関連性や人物の同一性確認の為、本籍を記載してください(※1、後記〇考察 参照)。
(※1) 住民票や住民票除票を取得する際に、窓口で「本籍を記載してください」と口頭で伝えるか、取得申請書の、「本籍を記載する」というところにレ点チェックすればよいと思います。ただ、各市区町村によりやり方が違いますので、フロアにいる役所の担当者に聞いてみてください。
(※2) 住民票や住民票除票にかわり戸籍の附票を添付してもよいです。また、戸籍の附票が必須となる場合もあります。詳しくは「住民票除票と戸籍の附票について」の項をご確認下さい。
〇考察
被相続人の住民票除票については登記簿上の住所、死亡時住所、戸籍等の関連性を証するため本籍の記載は必要ですが、相続人の住民票については本籍の記載は不要とする見解等があります(登記研究524号167項)。相続人の戸籍記載の氏名・生年月日と住民票記載の氏名・生年月日で同一人物であることが確認できるからという理由です(登記研究747号59項)。しかし、住民票に本籍が記載されていれば住民票と戸籍の関連性がより明確になりますし、そもそも本籍地を忘れた方や知らない方は、本籍地記載の住民票を取得し本籍地を確認して戸籍を取得します。また登記申請後、法務局サイドから「本籍記載の住民票を用意してくれ」と言われる可能性も否定できません。
やはり住民票にも本籍を記載した方がよいと思います。住民票に本籍を載せることは大した手間ではないですし、本籍の記載がない為に住民票を再度取得することになると、二度手間になり面倒ですからね。
※相続登記に必要な書面の項目では相続登記に必要な書面を説明しています。ぜひ参考にしてみてください。