前のブログでは事務所によくあるお問い合わせについて書きましたが、今回は相続登記のご相談の際、登記に必要な書面を説明した時によく聞かれる質問について書きます。

相続登記必要書面の説明をしているときに、「被相続人の登記済権利証(以下、登記済証 )はいらないのでしょうか?」という質問をよく受けます。

基本的には相続登記において被相続人が不動産を取得したときの登記済証は不要です。

そもそも相続登記の原因である相続は被相続人の死亡によって生じます。また相続人に不動産の権利が承継された事は被相続人と相続人の戸籍を見ればわかります。つまり公的書面である戸籍をひもとくことによって、おのずと不動産の権利関係が移転することがはっきりするので、登記済証を添付しなくてもよいということです。

(複数の相続人中、誰かが不動産を相続する場合は、戸籍に加え、遺言書、遺産分割協議書等を添付します。)

 

しかし例外的に登記済証が必要な場合もあります。

相続登記に必要な書面として被相続人の住民票除票または戸籍の附票があります。保管期間の経過などによりこれらの書面が役所で取得できないことがあり、このような場合は被相続人の住所関係を証する書面として登記済証を添付することがあります。

ただこれは例外的な場合なので、基本的には登記済証は相続登記には不要だと思っていただいて結構です。しかし、相続登記が完了するまでは被相続人が不動産を取得したときの登記済証は権利を証する書面ですので大切に保管をお願いします。

 

相続登記が完了すると被相続人の登記済証はいわゆる空権利証となり、権利を証するものではなくなります。「この空権利証を処分してよいのか」、との質問も受けることがあります。私個人と考えとしては、そんなにかさばるものでもないので、過去の情報が記載された記録として保管しておくのがベターだと思います。 

 

相続登記が完了すると、新たに登記名義人になった方に登記識別情報通知が発行されます。まさにこれは権利を証するものですので大切に保管をしてください。(※)

 

かつては登記済権利証と言う書面が、権利の存在を証するものとして発行されていました。現在は登記の電子化に伴い、登記済証ではなく登記識別情報通知が発行されます。登記識別情報通知に記載された情報そのものが権利を証明するもの(権利の存在を確認するもの)となっております。

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