「遺産分割協議のPOINT⇒相続開始後すぐ相続手続きをしましょう!」

数年前の相続案件ですが、お客様(相続人)のお父様が亡くなりかなりの年月がたち、お客様のご兄弟もすでに数名亡くなっているという事案がありました。最終的には遺産分割協議の当事者となるべき方は、かなりの人数になりました。自分が遺産分割協議の当事者であることを知らない相続人の方もいました。このように相続が開始して、年数がたつと、遺産分割協議の当事者は多数となり、協議の内容についてのコンセンサス(合意)が成立しにくい状況になります。協議者2名で協議する場合と10名で協議する場合を想像してみて下さい。遺産分割協議はひとりでも合意しない相続人がいると成立しません。

このような状況を回避するためにも、遺産分割協議や相続放棄を筆頭として、相続に関する手続きは相続が開始したら期間を開けないですぐにやるべきです。期間を開ければ開けるほど、スムーズに事が運ばないようになります。当事者が多数となり、さらには、親族とはいえ長期間疎遠になっている者同士が遺産分割協議をする確率が高くなるからです。 

  相続においては法律で法定相続分が規定されており、何もしなければその相続分で相続が開始します。しかし法定の相続分は実情にそぐわないという場合も多いことでしょう。また、この混迷の時代においては将来をみすえ、どのように相続財産を処分するのがいいか、早めにしっかりと考えておいたほうがよいでしょう。被相続人様の死というのは悲しい出来事ですが、考え方を変えれば、被相続人様が愛する家族にリスタートのチャンスを与えているのかもしれません。なにがベストの選択か熟慮し、早めに行動を起こすことが大切です。

※平成30年相続法改正により、遺産分割についても改正がありました。改正の概要は「相続法の改正」の項をご確認下さい。



「法定相続分の修正」

本来的には「相続が開始したら」の項で説明したように、相続人と相続分が法で定められていますが、遺言、遺産分割協議、相続放棄等により、法定相続分とは異なる相続分となる場合があります。「相続が開始したら」の項で述べた「法定相続分」に関する記述の補足として、以下説明します。

※内容がやや専門的ですので、お時間のない方は、次の項にお進み下さい。

① 遺言
・指定相続分
例えば、配偶者と子が相続人となるべき場合でも(このような場合の配偶者、子を推定相続人といいます)被相続人は法定相続分とは違う相続分の指定を遺言のみによりすることができます。
これを指定相続分といいます。例えば自分の事業を継ぐ息子により多くの財産をのこしたい時などは子の相続分を多くすればよいことになります。
※ただし遺留分の規定に反する定めはできません。

WORD 

遺留分権とは?⇒被相続人の近親の者に相続財産の一部を一定の割合、確実に留保するという制度です。相続人となる可能性があるのは、配偶者、子供、直系尊属、兄弟姉妹ですが、兄弟姉妹には遺留分権がありません。よって兄弟姉妹が相続人となる場合でも、全ての財産を兄弟姉妹以外の者に遺贈すれば、結局一切の財産を兄弟姉妹に残さないことができます。
推定相続人とは?⇒あるものが死亡したとすれば相続人となるもの。例えば被相続人に子と配偶者と兄弟がいて直系尊属がいない場合は、推定相続人は子と配偶者ということになります。兄弟姉妹は相続順位で子に劣後するので推定相続人にはなりません。

・指定分割
被相続人は遺言のみにより、遺産分割方法の指定等ができます。これもその指定次第では法定相続分とは異なる相続分を生じさせることが可能です。
・遺贈
遺贈とは生前贈与とは異なり遺言によりする贈与で原則として遺言の効力が生じたときにその効力が生じます。包括遺贈と特定遺贈に分けられます。
包括遺贈はその包括的な相続分を贈与の目的とし、特定遺贈は例えば相続財産中のある特定のマンションを息子に贈与するというように、個別具体的なことをその内容とします。
※ただし遺留分の規定に反する定めはできません(前記 遺留分権参照)
  
② 遺産分割
相続において遺言と共に重要なのがこの遺産分割協議です。大きく分けると①で述べた被相続人が遺言でする指定分割。相続人全員でする協議分割。協議が調わない時、または協議できない時に家庭裁判所に請求して家庭裁判所の調停、審判により成立する調停・審判分割に分けられます。通常は協議分割が一般的ですが、調停・審判分割もよくあります。遺言で指定分割がされている場合はそれを優先しますが、協議分割においては法定相続分とは異なった相続分とする協議も可能です。協議分割における遺産分割協議の成立は相続人全員が協議に参加し、全員がその協議内容に同意したことが大前提となります。


③ 廃除⇒相続人でなくなります
兄弟姉妹以外のものが推定相続人となる場合において、それらの者が被相続人に対し虐待をし、または重大な侮辱を加えた時、または著しい非行があった場合には、被相続人は家庭裁判所に対しその推定相続人の廃除請求ができます。例えば、どうしても子供に財産を残したくないが遺留分権があるのでどうしようか、という場合には家庭裁判所に廃除を請求すればよいのです。前記のように兄弟姉妹はそもそも遺留分権がないので兄弟姉妹は廃除の対象とはしていません。


④ 欠格(事由該当者)⇒相続人でなくなります
・故意に被相続人または相続について先順位、同順位にあるものを死亡させ、または死亡させようとして刑に処せられた者。
・被相続人が殺害されたことを知っているのに、これを告訴・告発しなかった者。(是非の弁別のできない者、加害者の配偶者、直系血族は除く)
・詐欺または強迫により被相続人が相続に関する遺言をした場合に、その遺言の取消、変更を妨げた者。
・詐欺または強迫により被相続人に相続に関する遺言をさせた者。または詐欺または強迫により相続に関する遺言を取消、変更させた者。
・相続に関する遺言書を偽造、変造、破棄、隠避した者。
MEMO
・廃除された者でも遺贈、生前贈与を受けられか?⇒結論としては受けられます。⇒被相続人がその者を許したと考えられるから。(これを難しい言葉でいうと宥恕(ゆうじょ:許すの意味)といいます)
・欠格者は遺贈を受けられるか?⇒原則、欠格者は遺贈を受けることはできません(民法965条)。⇒しかし被相続人は欠格者を宥恕できるので、宥恕した場合は欠格者でも遺贈を受けることが出来ると考えられます。


⑤ 相続放棄
原則、相続人は自己のために相続があったことを知った時から3ヵ月内に(熟慮期間と言います)家庭裁判所に相続放棄する旨を申述して相続放棄をすることができます。例えば、被相続人である父がギャンブル等で多額の借金を背負い、プラス財産を考慮しても結局は多額の借金を相続するのが確実だ、というような場合には相続放棄を考えたほうがよいかもしれません。相続があったことを知った時から3ヵ月内に相続放棄するというのが重要な点で、たいていの方はこの規定を知らぬまま相続放棄の手続きをしないで3ヵ月が経過し、相続人となることを承認したとみなされてしまいます。(法定単純承認と言います)
POINT
熟慮期間は利害関係人又は検察官の請求により家庭裁判所が伸長することもできます。また熟慮期間の起算点についての判例もありますので、相続放棄をどうしてもしたいという方はご相談下さい(事例によってはできない場合があります)

「遺産分割協議書や遺言書の不動産の記載方法」という項目をつくりました。遺産に不動産がある場合において、遺産分割協議書や遺言書を自分で作成しようと思っている方はぜひご参考ください。

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