原本還付とは、不動産登記申請において、添付書類のコピーと原本を申請書に付けて、原本は登記完了後に返却してもらうことを言います。
ご自分で登記の申請するときは基本的に原本還付をしましょう。
最近は、物価の急激な上昇などで出費を抑える方が多くなり、簡単な登記は司法書士に頼まずに、ご自分で登記をする方もいると思います。
特に抵当権抹消登記などは割と簡単な登記ですので、金融機関から抵当権抹消書類が来たら、その書類を使い、ご自分で登記をするのもありだと思います。
相続登記も複雑な相続関係などはなく、法定相続分で相続登記をする場合などは、一般の方でも、時間や手間などを惜しまなければ、面倒だとは思いますが、ご自分で登記することは可能だと思います。
被相続人の出生からの死亡までの戸籍を集める際、戸籍のつながりを確認するあたりが大変だと思いますが、その辺がクリアできれば何とかなるとは思います。
この相続登記の申請においても戸籍や住民票等の原本還付ができます。
相続登記には法定相続情報(※)を使う場合と使わない場合があります。
法定相続情報は相続手続きを要する金融機関等が多数の場合には作った方が良いと思いますが、手続きをする金融機関が1つしかないような場合には、わざわざ法定相続情報を作らなくても良いと思います。
法定相続情報を作らない場合は、戸籍等が相続登記以外の銀行等の相続手続きでも必要になりますので、相続登記申請の際は必ず戸籍等を原本還付しましょう。
法定相続情報を使わない相続登記においては、相続関係説明図(※)を添付することで戸籍等の原本還付ができます。相続人等の住所を記載した相続関係説明図と住民票除票・住民票のコピーを申請書に組み込み、戸籍や住民票除票・住民票の原本をまとめて申請書の1番後ろにつけます。また固定資産評価証明書も添付書類となりますが、これも原本還付できますので、コピーを申請書に組み込み、原本は申請書の後につけます。原本還付する戸籍・住民票や固定資産評価証明書には「原本還付をお願いします」と記載した付箋などを貼っておきます。こうすると戸籍・住民票や固定資産評価証明書の原本が戻ってきますので、他の相続手続きや相続税の申告などでまた使うことができます。
相続登記をする場合に、原本還付できるのに原本還付しないと、他の相続手続きをする時に、同じ戸籍等を再度取得することになり二度手間になります。
一般の方がご自分で登記申請する場合には、基本的に原本還付できる書面は原本還付したほうが良いでしょう。
また、ご自分で相続登記をするか、あるいは司法書士に頼むかで迷っている場合には、お客様の事情、費用・報酬、手間等をふまえ、アドバイスをさせていただきますので、お気軽に当事務所にお問い合わせください。
※司法書士に相続登記を頼むか否かについては当ホームページの「相続登記 司法書士に頼むか?本人申請か?」の項にも詳細な記載がありますのでご参考ください。
※法定相続情報⇒当ホームページの「法定相続情報証明制度」の項をご参考ください。
※相続関係説明図⇒その名の通り相続関係を説明する書面。被相続人と相続人の死亡時住所と住所を記載すると戸籍だけではなく住民票除票・住民票等も原本還付できる。法定相続情報はだれが法定相続人になるかを表すが、相続関係説明図は遺産分割協議等により所有権を取得した相続人なども表す。
※法定相続情報を使い相続登記を申請する場合は法定相続情報自体が戸籍の代わりになりますので、戸籍の添付自体が不要になります。法定相続情報を作成するか否かは前記の通り、やるべき相続手続きの数にもよりますので、諸状況を勘案して決めてください。