最近、ベテランの落語家ご夫婦のご自宅が火事になり、その際、火災保険の手続きをしていなかったため、大変だったというニュースがありました。お兄さんから不動産を贈与された際に火災保険の手続きをしなかったようです。

今回のニュースの場合は贈与時に火災保険の手続きをしなかった場合ですが、相続の場合でも、被相続人が火災保険に加入していた場合にはきちんと手続きをしなければ、火災保険がおりるのに時間を要したり、火災保険がおりない場合もありえます。

火災保険の被保険者(保険の補償を受ける人)が死亡し相続が開始して、被保険者名義の家屋の所有者が変わった場合には、火災保険の被保険者の名義変更が必要となります。また、普通は保険料を支払う火災保険の契約者も変更することになります。

亡父から子供一人に家屋が相続されたような場合はそんなに複雑ではないですが、仮に家屋が相続人複数の共有となる場合には、相続人間できっちりと、被保険者や火災保険の契約者を誰にするか遺産分割協議で決めたほうがよいでしょう。

相続の時にはやるべきことがたくさんあり大変だとは思いますが、火災保険に関する相続手続きも忘れずに行ってください。被相続人がどの火災保険会社と契約していたか調べ、そこに電話をして、自分たちの相続の場合どのような手続きをすべきか具体的に確認して、その確認した手続きをしてください。

相続の時はバタバタして、重要な手続きも忘れがちですが、火災保険に関する相続手続きも忘れずに行いましょう。

最近、学生が日ごろの悩みをAIに相談するということがニュースになっていました。確かに1人の時などAIに相談したりするのは良いのかもしれません。と同時にちょっとした怖さを感じました。仮にその相談した人間にとってマイナスなイメージをするような回答をAIがした場合はどうなのだろうなと思いました。

アメリカではAIに相談した16歳の少年が自殺したとして、裁判になった事例があるようです。

個人的にはAIについて否定的でもなく肯定的でもありません。それを利用する人間がうまく利用する能力があればいいのかなと思います。AIに関する相談はアドバイス的な意味でとらえるのがいいのかなと思います。その回答を100%真に受けないようにするべきだと思います。小学生位からAIの有益な活用方法を教育していけばよいのではないでしょうか。

 

また、よくAIに関連する話題として、人間の仕事がAIにとって変わられるのではないかということがよく言われます。例えば、裁判官、医師、教師、司法書士その他諸々。

他の資格については分かりませんが、司法書士について言えば、今すぐにAIにとって変わられる事は無いのではないかと思います。

 

司法書士が仕事をする上で重要な事は、お客様が何に困っていて、何を考え、どのような希望を持っているか、その辺を把握する能力だと思います。

相続等の相談にきっちり最初から向き合い、相続登記などの相続手続きの完了までを行う司法書士は、特にお客様の真意をきっちりと理解するということが重要になってきます。人間の想いや感情を理解するということが不可欠な仕事は、AIよりも人間が優位性を保っている分野なのではないでしょうか。そういう意味では司法書士がきっちりと職責を全うする限りは、AIには劣らないのではないかと思います。

 

相続の手続きを進める最初のきっかけとして、相続に関する知識を得るためにAIを活用するのは良いことだと思います。ただ、現実的、具体的に相続手続きを処理することを視野に入れた場合には、司法書士などの専門家に初めから相談した方がベターだと思います。

 

本文はあくまでも私的見解であり、AIの性能、能力などに否定的見解や疑義を挟むようなものでありません。

 

 

相続に関するご相談や相続登記を依頼するために当事務所にお客様が来る場合、戸籍を持参する方が多いのですが、住民票と住民票除票もあわせて持参する方はあまり多くはありません。相続登記には戸籍が必要なことは知っていても、住民票と住民票除票が必要なことについては割と知らない方がいるのかな、という印象です。

基本的に、相続登記には戸籍のほかに、不動産を相続する相続人の住民票と被相続人の住民票除票が必要であることを知識としてお持ち下さい。

 

また、住民票と住民票除票をお持ちいただいた場合にその内容を確認すると、住民票や住民票除票に本籍が記載されていないことがあります。

相続登記のため住民票や住民票除票を取得する場合には、戸籍と住民票・住民票除票の関連性や人物の同一性確認の為、本籍を記載してください(※1、後記〇考察 参照)。

 

(※1) 住民票や住民票除票を取得する際に、窓口で「本籍を記載してください」と口頭で伝えるか、取得申請書の、「本籍を記載する」というところに点チェックすればよいと思います。ただ、各市区町村によりやり方が違いますので、フロアにいる役所の担当者に聞いてみてください。

(※2) 住民票や住民票除票にかわり戸籍の附票を添付してもよいです。また、戸籍の附票が必須となる場合もあります。詳しくは「住民票除票と戸籍の附票について」の項をご確認下さい。

 

〇考察

被相続人の住民票除票については登記簿上の住所、死亡時住所、戸籍等の関連性を証するため本籍の記載は必要ですが、相続人の住民票については本籍の記載は不要とする見解等があります(登記研究524号167項)。相続人の戸籍記載の氏名・生年月日と住民票記載の氏名・生年月日で同一人物であることが確認できるからという理由です(登記研究747号59項)。しかし、住民票に本籍が記載されていれば住民票と戸籍の関連性がより明確になりますし、そもそも本籍地を忘れた方や知らない方は、本籍地記載の住民票を取得し本籍地を確認して戸籍を取得します。また登記申請後、法務局サイドから「本籍記載の住民票を用意してくれ」と言われる可能性も否定できません。

やはり住民票にも本籍を記載した方がよいと思います。住民票に本籍を載せることは大した手間ではないですし、本籍の記載がない為に住民票を再度取得することになると、二度手間になり面倒ですからね。

 

相続登記に必要な書面の項目では相続登記に必要な書面を説明しています。ぜひ参考にしてみてください。

 

 

当ホームページにはいろいろな項目がありますが、全血兄弟姉妹と半血兄弟姉妹の相続分に関する規定(民法第9004号但し書き後半部分 、以下単に本規定と記載)についての項目の閲覧数が意外と多いです。本規定は条文を読んでも理解しづらいのだと思います。

そこで今回のブログでは簡潔にわかりやすくこの規定を説明したいと思います。

 

民法900条4号

4  子、直系尊属又はきょうだい姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし(※嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とし、)父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。 

※括弧内は平成25年の改正で削除

 

この規定をまとめると、「片方の親のみが同じ兄弟(半血兄弟姉妹)の相続分は両親を同じくする兄弟(全血兄弟姉妹)2分の1になる」と言う規定です。

 

※全血兄弟姉妹⇒父と母の両方が同じである兄弟姉妹

※半血兄弟姉妹⇒父または母の一方のみが同じである兄弟姉妹

 

この規定を理解するポイントは、被相続人が兄姉妹弟で、相続人も兄弟姉妹となる場合に適用となる規定であるいうことです。

これには2パターンあります。被相続人である兄弟姉妹の配偶者が兄弟姉妹とともに相続人となるパターン。兄弟姉妹のみが相続人となるパターンです。

 

以下、わかりやすく説明するため、先に兄弟姉妹のみが被相続人と相続人となる事例から説明します。

 

事例)

すでに亡くなっている父A・母Bを両親をとする甲(被相続人)、乙(相続人)、丙(相続人)の兄弟と亡父Aとその後妻Cの間の子丁(相続人)についての法定相続分考えます。

 

 

   C(後妻)===亡父A==== 亡B(前妻) 

           |         |

           |     __|__

           |       |  |  |

                  丙  乙   (= E)

 

   (被相続人)   (相続人)   丙(相続人)   (相続人)

 

規定では両親の一方を同じくする兄弟の相続分は、両親を同じくする兄弟の2分の1とすると定めています。

 

この事例だと片親(亡父A)のみが同じである丁の相続分は、甲と同じ両親(亡父母A B)を持つ、乙・丙の相続分の1/2と言うことになります。

よって、具体的相続分は、乙:丙:丁は221なので、乙、丙が各2/5、丁が5/1ということになります。

 

 

甲に配偶者Eがいる場合は、配偶者が3/415/20)、兄弟姉妹が1/45/20)の相続分になります。

この兄弟姉妹の相続分1/4を、前記と同じ221の割合で処理すれば良いので、1/4 × 2/5 = 2/20が、乙、丙の各相続分、1/4 × 1/5= 1/20が丁の相続分になります。

 

 

9004号但し書き後半は割りと唐突に出てくる規定なので、何を意味しているのかわかりにくいですが、このように具体的な事例で考えると、理解しやすいと思います。

 

民法は、基本的に古い法律なので、わかりにくい規定が多く理解するのが面倒ですよね。このような場合は、ネットなどで「民法第〇〇条 わかりやすく」、というようなネット検索をすると良いと思います。

 

 

※本規定をより詳しく知りたい方は、当ホームページの9004号但し書き後半の項目をお読みください。

 

「お盆やお正月などに親族が集まった時には相続に関する話合いをしてみてはいかがでしょうか」という内容のブログを過去にもいろいろ書きました2024-12-272024-7-25他)。今回は遺言に関しての話です。具体的に言うとお盆などで、親子などが集まった時に遺言に関することを話題にしてみてはいかがでしょうかという話です。

 

最終的に遺言書を作成するか否かは遺言者(将来の被相続人)が決めるべきですし、その内容についても当然、遺言者の意思・考えにより作成されるべきです。ただ、残された推定相続人※(以下、単に相続人と記載)の側から見れば、遺言書を残してくれたほうがいいような場合があります。

相続人の間の折り合いが悪くて、将来、相続が発生した場合に協議がまとまらず、相続人の間で争いが発生する可能性が高い場合や、被相続人の意思を尊重して相続手続きを進めたいとの相続人の考えが一致しているような場合です。

このような場合には相続人がまだ存命の被相続人に対して、遺言書の作成を勧めるのもベターだと思います。

 

※推定相続人⇒ある人が亡くなった場合に相続人になる人

 

遺言書を作成する1番の利点は、基本的に遺産分割協議が不要になる事です。

これにより相続人間で相続に関することで争いになる可能性は低くなります。

また本来的に被相続人の財産である遺産を被相続人自身の考えで処分することができることも利点です。

 

全く遺言書の作成を考えていない方でも、相続人の方から前記のような事情や利点を説明すれば遺言書を作成するとの考えに変わるかもしれません。

お盆やお正月と言うのは親族が集まるめったにないチャンスです。相続が開始してもバタバタしないように、遺言に関することや相続に関する事をいろいろと親族間で話し合ってみてはいかがでしょうか。

 

※遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言、自筆証書遺言で法務局に保管する場合(自筆証書遺言書保管制度)などいろいろな種類、方法がありますが、証拠能力や保管のことを考えると、公正証書遺言や自筆証書遺言書保管制度がベターだと思います。ただ、遺言書にはいろいろな作成事情や作成状況があるので、その状況下でベストの選択をして下さい。

※当然ですが最終的に遺言の内容は遺言者自身が考え、判断して決めます。相続人側の考えや主張を押し付けないようにしましょう。また、強制的に遺言書を作らせた場合などには、民法第891条(相続欠格事由)の規定により相続人たる地位をなくす可能性があります。

 

※当ホームページには「遺言書作成のすすめ」の項があります。興味のある方は、ぜひ、そちらの項もお読みください。

 

今回のブログは相続放棄についての注意すべき事例についてです。

 

※本ブログ記載の事例は、あくまで、勘違い、法律的知識の不足等で予期せぬ相続関係が生じてしまった事例です。熟慮の上、相続関係の変化も考慮したう上で相続放棄をした事例ではありません。それを踏まえてお読み下さい。

 

事例)

夫が亡くなり、妻(配偶者)と子供2人が本来的な相続人とします。この場合に妻(配偶者)のみを相続人とするため、子供2人が相続放棄しました。相続人3人で遺産分割協議をするよりも、子供2人が相続放棄をして、母のみを相続人とした方が相続手続きを楽に進められると考えたからです。

 

しかし、ここに重大な落とし穴があるのです。子供2人が相続放棄すると相続人は配偶者だけではなく、亡夫の父母が生きている場合には亡夫の父母(直系尊属)、亡夫の父母が既に亡くなっている場合には亡夫の兄弟姉妹、亡夫の兄弟姉妹が亡夫より前に亡くなっている場合は亡兄弟姉妹の子供(甥・姪)が相続人(代襲相続人)になるのです(※1・2・3)

つまり場合によっては、妻(配偶者)と亡夫の兄弟姉妹・甥・姪が相続人となり、相続人が多数になることも十分あり得るのです。

 

※1. 民法890条(配偶者の相続権)

被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第887条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。

※2.前記事例で、配偶者が相続放棄した場合は、子供のみが相続人となり、直系尊属や兄弟姉妹は相続人になりません。

※3. 前記の事例で、仮に亡夫の父・母(直系尊属)がご存命の場合は、兄弟姉妹ではなく、亡夫の父・母(直系尊属)が生存配偶者とともに相続人になりますが、日本人の平均的な死亡年齢を考えると亡夫の兄弟姉妹や甥・姪が相続人になる事例が多いと思われます。

 

こうなると結構大変なことになります。手続きを簡単にしようとして行った相続放棄が、逆に相当に面倒なことを招いてしまうのです。

例えば、子供全員の相続放棄により配偶者と亡夫の兄弟姉妹・甥・姪が相続人になる場合において、配偶者が夫の遺産を全て相続しようとすると、その相続人全員が遺産分割協議をして、配偶者に遺産を相続させる旨の相続人全員の合意が必要になります。相続人となった夫の兄弟姉妹や甥・姪が協議内容に納得しなければ、遺産分割協議がまとまらなくなる可能性もあります(※4)。

 

※4. 兄弟姉妹や甥・姪が相続人の場合、遺留分はないですが、当然、基本的には法定相続分があります。

 

この事例にように良かれと思ってした相続放棄により、兄弟姉妹、甥・姪が相続人となる事案は少ないとは思いますが、意外とありえることなので注意が必要です。

 

とにかく配偶者と子供が相続人の場合において、子供全員が相続放棄する場合には、相続放棄した場合に他に相続人となる者がいないか必ずチェックしてください。

もし、相続放棄申述書を家庭裁判所に提出した後に、兄弟姉妹、甥・姪が相続人になることに気づいた場合には、すぐ相続放棄申述書を提出した家庭裁判所に連絡しましょう。そしてすぐ相続放棄の取下げの手続きをしてください(※5)

 

※5.相続放棄の申述が受理される前までは取下げができますが、相続放棄の申述が受理された後は取下げができません。よって自分が意図した相続関係と異なる相続関係が生じることに気づいた場合には、受理される前に家庭裁判所にすぐ連絡しましょう。

 

相続放棄は期間制限があるので、あわてがちですが、相続放棄した場合の相続関係の確認や遺産調査も踏まえ慎重に行うべき手続きです。本当に注意してください。

 

 

※当ホームページには相続順位や相続放棄に関する、相続が開始したら相続と相続放棄(熟慮期間について)相続放棄をした場合の相続登記の添付書面相続放棄をする場合の民法第940条の管理責任についての項があります。興味のある方は、ぜひ、そちらもお読み下さい。

2010年の夏に鎌田司法書士事務所ライトコードをこの杉並・荻窪に開業しました。

今年の夏で事務所開業から15年ということになります。

友人に手伝ってもらい、汗をかきつつ事務所開業の作業をしたのが本当に昨日のことのように思い出されます。あの日から本当に15年も経ったのかという感じで、正直、実感がわきません。

 

15年も続けてこれたのは、ひとえにお客様のおかげです。ありがとうございます。

また、いろいろと支えてくれた司法書士仲間や他の士業の先生方、友人にも感謝しております。

 

15年を振り返ると、やはり、大変な思いをした仕事がすぐ思い出されます。しかし、過去のしんどい経験は自分の力になっている事は確かです。

また、この仕事を続けてきてよかったと感じる事もあります。それは、お客様から感謝の言葉・お手紙などを頂くことや、同じお客様から再度仕事を依頼して頂くことです。

自分のやっている事は間違いではないのだなと、励まされているような気持ちになります。 

 

これからも初心を忘れず、お客様のお役に立てるように頑張りたいと思います。

今後も鎌田司法書士事務所ライトコードをよろしくお願いいたします。

 

 

 

来年、令和841日から住所変更登記が義務化になります。それに関連して当ブログにおいても住所変更に関連したブログ(2025-05-22 ブログ)がありますが、今回は、一般的な「住所移転」を原因とする住所変更登記ではなく、「住居表示実施」と「行政区画変更」を原因とする住所変更登記について説明したいと思います。

 

※興味のある方は、ぜひ当ホームページの住所変更登記の項もあわせてお読み下さい。

 

住所変更登記は、簡単な登記なのでご自分でもする方もいると思いますが、やはり1番多いのは、引越しなどによる住所移転を原因とする住所変更登記です。この場合は住民票をとって登記申請書に添付すればよいのでそんなに面倒ではありません。

一般の方にとってなじみの薄いのが、「住居表示実施」と「行政区画変更」による住所変更(登記)ではないでしょうか。

以下、簡単に「住居表示実施」と「行政区画変更」を原因とする住所変更登記について説明します。ぜひ参考にしてみてください。

 

住居表示実施は、住居の表示をより実際の街並み、区画等にリンクしてわかりやすく表示するために行われるものです。これにより、より家屋所在地等が明確になり、緊急車両や郵便等の業務について利便性が高くなります。

 

例)  ZY町1番地 ⇒住居表示実施⇒ZY1丁目1番2号

 

住民票を取得しても住居表示実施による住所変更の過程は記載されませんので、「住居表示実施証明書」を市区町村役場で取得して登記申請書に添付します。

住居表示実施を原因とする住所変更登記登録免許税は非課税です。この場合、住所変更登記申請書には忘れずに非課税条文を記載してください。

 

記載例)        登録免許税   登録免許税法第5条第4号

 

※住居表示実施の実施日や内容などは「住居表示実施証明書」に記載があります。「住居表示実施証明書」の内容を登記申請書に記載してください。

 

 

 

行政区画変更とは、市町村合併などで新たな市町村が生じる場合や土地区画整理事業で町名や地番が変更となる場合です。基本的に住所変更登記が必要ですが、町名や地番変更が伴わない行政区画変更は住所変更登記不要です。

 

例) Z市が近隣の市町村を合併してY市となった場合

 

ZZ1丁目11号⇒合併⇒YZ1丁目2番3号    住所変更登記必要

ZZ1丁目11号⇒合併⇒YZ1丁目11号    住所変更登記不要

 

行政区画変更による住所変更登記の場合は「行政区画変更証明書」、「町名地番変更証明書」などを添付します。この場合も非課税です。忘れずに非課税条文を記載してください。

 

記載例)        登録免許税    登録免許税法第5条第5号

 

 

住居表示実施や行政区画変更による住所変更登記で注意する点といえば、複数回の住所変更があった場合の登録免許税です。

 

例えば、「令和2年3月4日住所移転⇒令和3年4月5日住居表示実施」、の場合は、最後の登記原因が住居表示実施なので非課税になります。

逆に、「令和2年3月4日住居表示実施⇒令和3年4月5日住所移転」の場合は最後の登記原因が住所移転なので登録免許税がかかります。注意してください。

 

令和841日から住所変更登記が義務化になります。罰則規定もあるので注意が必要です。住所変更登記は難しい登記ではないのでご自分で登記してもよいですし、費用・報酬もそんなに高くはない登記なので、時間のない方は司法書士に頼んでも良いと思います。

 

 

 

 

先日、お客様からのお問い合わせ中に住宅用家屋証明書(以下、家屋証明書と記載)についての質問がありました。家屋証明書は一般の方にはなじみが薄い書面だと思います。

そこで今回のブログでは、知らないと意外と損する家屋証明書について説明したいと思います。

 

「住宅用家屋証明書」を知らない方はかなり多いのではないでしょうか。

一定の要件を満たした住宅用の家屋を個人が新築又は取得し、その個人の居住の用にその家屋を使う場合には、「住宅用家屋証明書」を所有権保存登記等に添付することで、登録免許税の税率の軽減措置を受けることができます。各自治体の建築課などで取得できます。

 

〇家屋証明書を使うと以下の通り登録免許税率が下がります。

(租税特別措置法第72条の2、第73条、第74条他)

※租税特別措置法の軽減税率は、令和7626日現在の税率を記載しています。

 

所有権の保存登記:本則0.4%→特例0.15%

 →特例0.1%(長期優良住宅・認定低炭素住宅)
所有権の移転登記:本則2.0%→特例0.3%

 →特例0.1%(マンション長期優良住宅・認定低炭素住宅)

 →特例0.%(戸建住宅の長期優良住宅)

抵当権の設定登記:本則0.4%→特例0.1%

 

※家屋証明書の取得要件については最後に記載しています。

 

 家屋証明書を使う場面で1番身近なのは、個人が新築で建物を建て、その個人の名義で所有権保存登記をする場合や新築マンションを購入して所有権保存登記をする場合などが多いのではないでしょうか。

このような場合は、一般的には建築業者、マンション販売業者が指定する司法書士が所有権保存登記をすることが多く、その司法書士が家屋証明書を取得するので、司法書士から家屋証明書に関する説明がない場合は、家屋証明書を取得していること自体に気づかない方もいるかもしれません。

 

前記の通り家屋証明書を取得し、登記申請書に添付することにより、所有権保存登記や所有権移転登記の登録免許税率が安くなります。場合によってはすごく登録免許税率・税額に差が出るので、その意味では重要な書面です。

 

一定の要件が整えば、中古マンションの売買にも家屋証明書を使うことができます。

例えば中古マンションの売買による所有権移転登記の場合に家屋証明書を添付できれば、登録免許税の税率は、1000分の202.0%から1000分の3(0.3%になります。仮に建物の評価額を1000万円だとすると、登録免許税が20万円から3万円に減るということです。17万円の減額です。これってすごいことですよね。

 ※マンションの敷地(敷地権)については売買の場合、租税特別措置法第72条第1項により登録免許税率は1000分の15になります。

 

当然、司法書士は軽減税率が適用される場合には家屋証明書を取得して登記するので、問題がないと言えますが、親族間で中古マンションの売買などをする場合に、当事者本人が登記をする場合などは絶対見逃してはいけない書面です。

また、建物を新築する、新築マンション・中古マンションを購入するなどのプランがあり、自分で予算を立てる場合などには、家屋証明書が使えるか否か、使える場合には登録免許税率がどれくらい低くなるかと言うのも勘案して予算を立ててみてください。前記の通り結構な差が出ますからね。

いずれにせよ、建物の新築を考えている方や新築マンションや中古マンションの購入を考えている方は、その家屋が家屋証明書を取得できる要件に当てはまるか否か注意しましょう。取得できる場合には家屋証明書を取得して低い税率で登記を受けましょう

 

〇家屋証明書の取得要件

 

1.    個人が新築又は取得し、本人が居住する住宅

2.   床面積が50平方メートル以上(一体として登記する車庫等を含む合計面積)

3.   居宅部分が90パーセントを超える住宅(事務所併用住宅・店舗併用住宅等)

4.   新築又は家屋の取得後1年以内

5.   移転登記の場合は、取得の原因が「売買」又は「競落」であること

6.   新築年月日が昭和5711日以降の家屋である(家屋の登記全部事項証明書による)
ただし、新築年月日が昭和561231日以前の家屋であっても、下記証明書のいずれかが添付されていれば対象となります。

o    「耐震基準適合証明書」(当該家屋の取得の日前2年以内に当該証明のための家屋の調査が終了したものに限る)

o    「住宅性能評価書の写し」(当該家屋の取得の日前2年以内に評価されたもので構造躯体の倒壊等防止に係る評価が等級13であるものに限る)

o    保険法人が発行する「既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約に係る保険付保証明書」(当該住宅の取得の日前2年以内に契約が締結されたものに限る)なお、保険契約の内容については一定の要件があります。詳細は国土交通省ホームページにてご確認ください。

7.   区分所有建物は、建築基準法上の「耐火」または「準耐火」建築物であること

o    石造、れんが造、コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造のいずれかに該当するもの

o    上記の6構造以外の場合、確認申請書の副本の提示により、建築基準法上の「耐火」または「準耐火」建築物であることを確認します。

 

〇 上記、2の床面積が50平方メートル以上」、4の「新築又は家屋の取得後1年内」、5の「移転登記の場合は、取得の原因が「売買」又は「競落」であること」などはネックとなる場合がありますので注意してください。

例えば、床面積が50平方メートルに満たない家屋、贈与を原因とする移転登記、取得後1年を超過した家屋については家屋証明書が取得できず、登録免許税率の軽減適用も受けられないということです。

 

〇認定低酸素住宅・長期優良住宅については、ネット等ですぐ検索できますので、興味のある方は調べてみてください。

租税特別措置法の軽減税率は、令和7626日現在の税率を記載しています。

 

 

前回のブログでは、相続開始前に相続放棄、遺留分の放棄ができるかについて書きましたが、今回は相続開始前に遺産分割協議ができるか否かについて簡単に書きたいと思います。相続放棄や遺留分放棄と遺産分割協議はその性質が違うので、別々のブログにしました。

相続放棄や遺留分の放棄と遺産分割協議が大きく異なるのは、相続放棄や遺留分放棄は単独でする行為で、遺産分割協議は合意に向けて複数の相続人間で行われる行為ということです。

 

結論から言うと、遺産分割協議は被相続人の生前にはできません。ある人の相続が開始して、その相続開始時(死亡時)で遺産が確定する事と相続開始時の相続人が遺産分割協議の当事者となるので、相続が開始する前にその協議の前提となる要素が確定していないからです。仮に被相続人の生前に遺産分割協議をしても有効なものでありません。

 

しかしながら遺産分割協議が相続人間における合意を目指すことを目的としている性質上、将来の遺産分割協議に向けて、相続開始前において推定相続人間(※)で話合いをする事は決して無駄だとは思いません。例えば高齢の方が重篤な病気にかかっており、近い将来相続が開始する可能性が高いような場合には、将来の相続に向けて話合いをする事は法律的には遺産分割協議ではないというだけで有益なことだと思います。

 

相続人が複数いる場合には、基本的に遺産分割協議の合意が成立しないと相続の手続きを進めることができません。相続開始前でも早めに推定相続人同士がどのような考えを持っているのか、意志を疎通させておく事は決して悪いことではないと思います。

 

他の項でも述べていますが、遺産分割協議は自己の主張ばかりしていると、まとまるものもまとまりません。遺産分割協議が合意に至らないと色々と面倒なことが生じる可能性が高くなります。親族間の関係が悪くなったり、訴訟費用等無駄な出費が増えたりというようなこともありえます。相続開始前の推定相続人間の話合いにおいても同様のことが言えます。相手の主張や意見にも耳を傾ける姿勢が大切です。

また、相続開始前の相続人間の話合いにおいては前記したように、「相続が開始した時点で遺産及び相続人が確定する」ということは話合いの前提として頭の中に入れておくべきでしょう。

 

※推定相続人⇒ある人が亡くなった場合に相続人になる人

 

※相続開始後の遺産分割協議においては、2025-05-07のブログに記載の通り、相続開始から遺産分割協議が整わず10年を経過すると、寄与分等の主張が原則できなくなり、一般的には法定相続分として相続関係が処理されることになります。この期間制限にも注意が必要です。

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